10月22日に発売されたばかりのレシピ本「モーニングトン・クレセント東京の英国菓子」から、とっておきのレシピをご紹介します。
先週は、伝統的な家庭的なスコーンの作り方でしたが、今回はお母さんのアップルパイです。
アイスクリームを添えてもクリームを添えても、どちらにしても嬉しい組み合わせでは?
~1分で読めるエンタメコラムを配信~
季節のファッショントレンドから、アート、映画、演劇、旅行などの耳より情報に、旬のイケメンまで。あなたの好奇心を満たすコラムをお届け!
2020/11/01 Sun.
~お母さんのアップルパイ~ モーニングトン・クレセント東京の英国菓子
10月22日に発売されたばかりのレシピ本「モーニングトン・クレセント東京の英国菓子」から、とっておきのレシピをご紹介します。
先週は、伝統的な家庭的なスコーンの作り方でしたが、今回はお母さんのアップルパイです。
アイスクリームを添えてもクリームを添えても、どちらにしても嬉しい組み合わせでは?
折り込み層の生地でなくても、十分サクサクのスイートショートクラストパイ生地に、甘酸っぱくてジューシーなフィリングを詰め込んだ英国流アップルパイ 。
常温のままでも温めても、どちらでもおいしく、イギリスらしくホイップしていない生クリームをかけるか、アイスクリームや温かいカスタードソースと一緒に、どうぞ!
・予熱:200℃、4の後に(天板も一緒に)
・個数:1台
・型:直径18cmのパイ皿
・すり合わせメソッド(下記参照)
・生地の伸ばし方(下記参照)
・保存:冷蔵で3日程度、冷凍で3 ヶ月
材料
スイートショートクラストパイ生地:
中力粉…200g
塩…2g
バター(食塩不使用/冷えて硬い/角切り)
…100g
グラニュー糖(微粒子)…30g
卵…28g
冷水…20g
フィリング:
ブラムリーアップルのピューレ(下記参照)…300g
仕上げ用:
牛乳…適量
グラニュー糖(微粒子)…適量
<作り方>
1.ボウルに中力粉と塩を入れ、手で混ぜる。バターを加え、指先ですり合わせ、さらさらと砂っぽい状態にする。
2.グラニュー糖を加えて混ぜる。
3.卵と冷水を様子を見ながら加え、ディナーナイフ(またはゴムベラ)で軽く混ぜる。ナイフの平らな部分で、しっとりしている生地を乾いた生地に押し込むようにする。
4.打ち粉をした台に取り出し、手でまとめながら軽くこね、片方が少し多めになるようにふたつに分ける。ラップに包んで冷蔵室で約30分寝かせる。
5.多めに分けた生地をパイ皿より3cm大きく伸ばす。
6.パイ皿に敷き詰め、型からはみ出た生地は切らずにそのままにして、ブラムリーアップルのピューレを入れる。
7.もうひとつの生地をフタになる大きさに伸ばす。
8.パイ皿の生地の縁を牛乳で軽く濡らし、フタの生地をかぶせる。上下の生地が重なる縁を押し合わせ、はみ出た生地をディナーナイフで切り落とし、縁に波形の模様をつける(下記写真参照)。好みで飾りもする。
9.表面に牛乳を塗ってグラニュー糖をふり、ディナーナイフで空気穴を数か所あける。190℃に下げて30~40分焼く。
10.パイ皿ごと網にのせて冷ます。すぐに食べる場合は最低でも約15分は待つ。
【ブラムリーアップルのピューレ】
日本ではブラムリーアップルが買える時季が短いため、手に入れてからすぐの、酸味が強い段階でピューレを作り、冷凍保存することをおすすめします。
材料
ブラムリーアップル…1kg(皮をむく前の量)
グラニュー糖(微粒子)…100g
バター(食塩不使用/常温)…50g
塩…1g
好みでシナモンパウダー…適量
<作り方>
1.ブラムリーアップルは皮をむいて粗く刻む。
2.鍋にブラムリーアップル、グラニュー糖、バター、塩を入れてフタをし、中火にかける。温度が上がってブクブクしてきたらフタを外し、ゴムベラで混ぜながら煮崩れるまで加熱する。小さなパイに使う場合は完全なピューレ状、大きなパイの場合は少しかたまりを残してもいい。
3.好みでシナモンを加え、味見してみて甘さが足りなければグラニュー糖少量(分量外)を追加する。
4.冷めたら密閉容器に入れる。
*保存:冷蔵で5日程度、冷凍で3 ヶ月。
冷蔵室にひと晩おいて解凍する
【すり合わせメソッド】
「スコーン」や「タルト生地」など、イギリスのお菓子作りで最も多く登場するメソッドです。小麦粉をバターでコーティングすると、のびのびとしたグルテンを生み出す水分が小麦粉に吸収されにくくなるので、イギリス人が大好きな「ホロホロとした食感」になります。
●小麦粉と塩を均一になるように手で混ぜる。
●角切りにしたバターに粉をまぶす(画像1,2)。バターの温度はレシピにもよるが、「常温」に近いやわらかさが使いやすいので、多くの場合はおすすめ。
●すり合わせが早くできるように、バターを手で薄くつぶしたり、ちぎったりする(画像3)。
●すり合わせの動きには、2種類がある。
●a) 両手を上向きにして生地を少し持ち、親指と指先で生地をこすり合わせる方法(画像4)。
●b) 生地を少し持って、両手を合わせて指をすり合わせる方法(画像5)。
●a)、b) ともに生地を落としながら作業し、バターが溶けないように手の平ではなく指を使うことがポイント。
●バターがさらさらと砂っぽい状態になればでき上がり(画像6)。やりすぎると生地がダマになってしまうので注意。
●砂糖を加える場合は、バターから水分を引き出すなどの影響があるため、すり合わせが終わった後にざっくり混ぜる。
【生地の伸ばし方メソッド】
●生地を作る時の水分量は、作業と仕上がりに影響する。水分が多いと伸ばしやすいが縮みが多く、水分が少ないとホロホロといい食感だが、伸ばす際に破れやすくなる。冬の乾燥している季節はレシピの分量より多く水分が必要な場合もあり、使っている小麦粉によっても水分量の調整が必要。
●生地が固いと伸ばす時に割れやすいので、少しやわらかくなるまで生地を常温におく。10分おきに指で少し押して確認しよう(画像1)。
●台、生地、めん棒には、少量の打ち粉をふる(画像2)。作業しながら生地がくっついてきたら、その都度打ち粉をふる。生地が台にくっつくと伸びない。
●伸ばす前に、生地の両面に「リッジング(ridging)」をする。めん棒で生地を上から下に押しながら波状の跡をつけ(リッジング)、裏返して同様に跡をつける(画像3)。そうしてリッジングすることで生地がやわらかくなって伸ばしやすくなり、また生地を引っ張らないので縮みを少なくする効果がある。
●ある程度薄くなったら、めん棒を転がして伸ばす。この時、手の平全体を使うようにしてめん棒を移動させ、生地の縁2~3cmの外側は伸ばさない(画像4)。縁まで伸ばすと、そこだけ薄くなりやすく、台にくっつく原因にもなるため注意。
●1度伸ばしたら、常に生地を90度回す(画像5)。この時に伸ばさずにおいた縁2~3cmの部分が平らになる(画像6)毎回90度回すことで台に生地がくっついていないかチェックでき、また形も整えやすくなる。丸い生地なら手で、長方形ならカードで、多少形を整えてもいい。
●伸ばす作業が手早くできると、伸ばし終わった生地がまだ冷たい状態なので、次の作業がしやすくなる。
まずティーポットは使わないでしょう。あれば素敵。
もちろん使っても結構ですが、ある調査によるとイギリスでは16%の人しか使わないので、モンクレでは家庭と同じようにマグカップに直接紅茶をいれます。
次は紅茶選びです。イギリス人は茶葉の品種ではなく、商品名やブランドで選ぶことが多い。
イギリスにはたくさん紅茶のブランドがありますが、一番大きい23%のシェアをもつのは「ピージーティップス(PGTips)」。このブランドはどんな茶葉を用いているのか、イギリス人は考えたことがないでしょうが、ケニヤ、スリランカとインドの茶葉のブレンドになります。 PG Tipsのような一般的な紅茶の特徴は、すぐに濃く出ることと、牛乳を入れても負けない紅茶の風味ですね。
マグカップにティーバッグを入れたら、沸騰したての湯を注ぎます。私は茶葉を少量の湯で濡らしてから残りを注ぐのが好き。ティースプーンで少し混ぜて2~ 3分おきますが、イギリス人はタイマーを使わず、感覚と紅茶の色で判断するのが一般的です。
さらにミルクの入れ方。私と主人は順番が違いますが、私はミルクを先に入れてからティーバッグを取り出します。なぜかというと、万が一薄い紅茶の場合に調整ができるから。
牛乳は大切だと思います。まずイギリス人の70%以上は、ミルク入りで紅茶を飲んでいるので、そもそも「ミルクティー」という言葉はないのです。ストレートで飲みたい時は「black tea please!」で注文したほうがいいでしょう。
そしてイギリスでほとんどの牛乳は「低温殺菌牛乳」なので、イギリス一般家庭に近い味わいを楽しみたいなら非常におすすめです。低温殺菌では66℃前後で30分くらいかけてゆっくり殺菌しているので、とてもクリーミーな味。イギリスの牛乳に近いです。 そのことがわかってから、日本での私の紅茶人生が変わりました!
最後に、家庭ではわざわざアフタヌーンティーまではしないのですが、何かのおやつ、ビスケットでもいいし、あればケーキを少しだけでも、ぜひ紅茶と一緒に、どうぞ!
『モーニングトン・クレセント東京の英国菓子』
著:ステイシー ウォード
¥1,900(税抜)
PARCO出版
Staff Credit
photo:Takako Hirose
Styling:Kanako Sasaki
Design:Ai Kawazoe
Edit:Noriko Motomura
ステイシー ウォード(Stacey Ward)
イギリス菓子教室主宰。
イギリス・マンチェスターに生まれ、幼い頃から家庭でお菓子作りを楽しむ。大学で美術専攻後、日本の高校で英語を教える仕事のため、2001年に来日。2014年、東京・東麻布で、「Mornington Crescent(モーニングトン・クレセント)」をスタートし、少人数制のお菓子教室と販売を行う。イギリス家庭の作り方をできるだけそのままに、日本で入手可能な材料で同じおいしさのお菓子を作ることを目指している。NHK「グレーテルのかまど」、ジャパンタイムズなどのメディアに注目される。三越の英国展などイベントにも多数出店。
MORNINGTON・CRESCENT(モーニングトン・クレセント/略称“モンクレ”)
東京都港区東麻布 2-14-3 カサド並木101
TEL : 03-6441-0796
◆お菓子教室 少人数制のアットホームな雰囲気のレッスンで、実習&試食を行う。毎月、季節に合わせて変わるメニューは幅広く、予約が取れないお菓子教室と知られ、全国から参加者多数。
◆不定期販売 月2回程度、お菓子を販売する「オープンベーカリー」を開催。毎回オープン前から行列ができる。
2024/11/20 Wed.
2024/03/29 Fri.
2024/02/23 Fri.
2024/02/16 Fri.