雨が続く日々に「晴れている空が恋しい」と思う人もいれば、「雨の日も悪くないな」と思う人もいる。いま気になるあの人は、雨とどう向き合っているんだろう。今回はファッションやアートの分野で注目の絵描き・Lee Izumidaさんの活動や彼女にとっての「雨のお話」を、ざっくばらんにインタビュー。彼女が雨について思うことは、生業としている絵への向き合い方と、少し似ている部分がありました。
2023/06/16 Fri.
雨が降っても、ありのままで。絵描き・Lee Izumidaさんの「雨の物語」
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2023/06/16 Fri.
雨が降っても、ありのままで。絵描き・Lee Izumidaさんの「雨の物語」
雨が続く日々に「晴れている空が恋しい」と思う人もいれば、「雨の日も悪くないな」と思う人もいる。いま気になるあの人は、雨とどう向き合っているんだろう。今回はファッションやアートの分野で注目の絵描き・Lee Izumidaさんの活動や彼女にとっての「雨のお話」を、ざっくばらんにインタビュー。彼女が雨について思うことは、生業としている絵への向き合い方と、少し似ている部分がありました。
― 絵をはじめたきっかけは?
ただ絵が好きで、ずっと描いています。「絵描きになりたい」という夢は小さな頃から変わらなくて。だから何かきっかけがあったとかでもなく、好きだからという、すごくシンプルなことかもしれません。小さいときにみんな絵を描いてたと思うのですが、私の場合は好きだからずっと今まで描いているという感じです。
― ずっと描き続けるってすごいです。
今ではありがたいことに絵で食べていけるようになりましたが、他の仕事をしながらでも絵を描いているのなら、それはすごいカッコイイ、立派な絵描きだと私は思います。また絵で食べていくのが難しくなれば、他のことをやりながら絵を描いていければいいと思っています。
―最近の活動について教えてください。
フリーランスになって4年目です。3年目くらいまでは、いただいたお仕事はなるべく引き受けて、いろいろなことをするようにしていました。今では少し考え方も変わってきていて、今後は、個展をメインにしてやっていけたら、と思いはじめています。
―絵を描く上で、大切にしてることって?
「実際に描く」こと。プリントするのではなく、すべての作品を自分で描きたいんです。描くことが好きで続けてきたので、そこは大切にしています。この前ワッペンを作ったのですが、それも、一つひとつ手描きにしました。同じものがいっぱいあるより唯一なほうがやっぱりうれしいし、愛着が湧きます。それ以上に、単純に描くことが好きなんです。
「絵をキライになることをしない」ことも大切にしています。好きだからこそ嫌いになるきっかけもあるのかもな、と。私自身、柔軟に動けるタイプでもないし、あんまり器用なほうではないからこそ、そこは大切に考えています。無理に絵を描いてもいいものを生み出せるほど器用ではないのかなと、4年目にして少しそれがわかってきた気がします。
あとは、「シンプルに描きたいものを描く」。それがモノなのか人物なのかも、あんまり難しく考えないです。自分に正直に、いま自分がやりたいことはなにかを明確に見つめるようにしています。大好きなことや、描きたいことを表現していきたけたらうれしいです。売れない時期も長かったのですが、そこはシンプルに考えて、売れなくなったら他に仕事をすればいいかなと、肩の力を抜いて絵に向き合っていけたらいいなと思っています。
― それも、絵を好きでいつづけるため?
そうですね。自然体で「今描きたい!」と思うものを、表現したいですね。
― どんなときに絵を描くんですか?
タイミングは決めていなくて、無理して作業しないようにしています。ちゃんと寝ないと体調崩しちゃうので。私にとって絵を描くことは、ごはんを食べるのとあまり変わらない感覚かもしれません。「お腹減ったな、おやつ食べようかな」みたいな感じで「描こうかな〜」と作業に取りかかることもあれば、「今日はおいしいものが食べたいから、あのレストランでコース料理を食べよう!」みたいな感じで大きいキャンバスに向かってみたりすることもあります。もちろん締切などはありますけど、絵に向き合う自分の感覚は、いつでも大切にしたいですね。
― それって、本来あるべき姿なのかも。
はい。だいぶ、シンプルです(笑)。目標は一貫して、「おばあちゃんになるまで描きつづけること」。あれやりたい、なにがしたい、みたいなのはあまり決めないようにしています。時代も変わるし、気持ちも変わるかもしれない。もしかしたらすごい画材が出るかもしれないし、楽しいプロジェクトに関われるかもしれないし、クライアントがいなくなっちゃうかもしれないし。そこはもう決めつけず、自然に身をまかせて……。柔軟に自分の状況に合わせて、描き続けれたらと思います。
― 「雨」と聞いて思うことってありますか?
雨、なんとも思わないんですよ(笑)。プラスでもなければ、マイナスでもない。それには理由があって、昔シアトル近くの街で留学していたんですけど、そこではずっと雨が降っているか曇っているかが普通でした。そんな土地に16歳から21歳までいたので、だんだん雨やくもりに対して、なんとも思わなくなりました。だから私、雨やくもりが1カ月続いても、超マイペースに生きられる自信あります(笑)。シンプルに「雨が降ってるなあ」と受け入れる。濡れるのも別に嫌じゃなくて。外出するときはたくさんの画材を持つので、傘をささずにレインコートで身軽に出かけたりします。
― おもしろい発想。
じめじめは、ちょっと気持ち悪いですけどね。人間って湿度があるとストレスを感じる生き物らしいので、それはしょうがないな〜とだけ感じてますね。気分がウツウツするならビタミンが足りないのかな、と分析してサプリを摂取してみたりします。
― 冷静!
そうですね(笑)。いろいろなことに対しての考え方が、結構たんたんとしているかもしれないです。「なんで、こうなんだろう」と考えるのが好きで。雨がイヤといっても雨は降るから仕方がないし、台風がイヤといっても、そのしくみを知ったらそうなんだと納得できたりもして。
― 絵以外の趣味はありますか?
調べること。ネットサーフィンしたり、ドキュメンタリーを見たり。どうでもいいことから、真面目なことまで。気になったら、調べていますね。それこそ台風についても、なんでこの場所から発生するんだろうとか、なんでこういう名前がつくんだろうとか調べはじめると、とまらなくなって。そうして知っていくうちに「台風ってイヤだな」という感情はもはやどこかに吹き飛んでしまって、愛着すら湧いてくるんです。
― 人間関係で悩むほうですか?
そこまで悩まないかもしれないです。いろんな人がいるしいろんな感情があるから、一筋ではいかない、くらいに考えています。人間って頭が良すぎるから仕方ないという感覚かもしれないです。
― 物事の捉え方がシンプルですよね。昔から?
若いときはうわ〜っと悩むことも、もちろんありました。でも調べるのが好きで、いろいろ調べるうちに、こういう考え方になった部分もあります。コロナ禍のときも家でじっとしていることにストレスを感じることもあまりなく、「この前みたドキュメンタリーに出てきた鳥は子どもが生まれるまで卵の上でじっとしているのに、人間がじっとできないのはなんでなんだろう」とか、考えてました(笑)
― 悩みはどう解消してますか?
頑張らないと解決しないときは「もう頑張るしかない」って、気合いで乗り切っています。でも、そうじゃないときもやっぱりありますよね。そういうときは、一度冷静になって考えて、対処します。現場作業ではトラブルがあることもあるので、プランCまで考えておいたりします。何かあっても楽しんだり、立ち回れたりするように。ゲームが好きなんで、クリアしていく感覚に近いですね。
― Leeさんのパーソナリティのひとかけらが見えた気がします。ありがとうございました!
雨で思うことは、人それぞれ。Leeさんの考え方は、雨の受け入れ方も、絵に向き合う姿勢も、とてもシンプルでした。自分の気持ちに素直になって、何事もありのままにうけとる。その術を知っておくと、少し自分を大切にできるのかもしれません。
Lee Izumida
1986 年、北海道生まれ。幼少期から絵を描き始め、アメリカ留学時に絵を学ぶ。2019 年より本格的に絵描きとしての活動をスタート。アクリル画を中心に、看板や宣伝美術、ウィンドウの装飾などで活躍中。
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