気がつけば、今年もあとわずか。一年、いろいろなことがありました。バタバタと忙しく過ぎてしまう年末ですが、合間を見つけて自分と向き合う時間をもつことで、心に余裕をもちたいもの。今年を振り返りつつ「来年はどう過ごそう?」と、気持ちを落ち着かせて静かに自分と向き合ってみるのもいいですよね。そこで今回は、自分の内面と向き合う「写経」を体験しに、長谷寺を訪れました。
2022/12/23 Fri.
写経体験で、ワタシと、向き合う。
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2022/12/23 Fri.
写経体験で、ワタシと、向き合う。
気がつけば、今年もあとわずか。一年、いろいろなことがありました。バタバタと忙しく過ぎてしまう年末ですが、合間を見つけて自分と向き合う時間をもつことで、心に余裕をもちたいもの。今年を振り返りつつ「来年はどう過ごそう?」と、気持ちを落ち着かせて静かに自分と向き合ってみるのもいいですよね。そこで今回は、自分の内面と向き合う「写経」を体験しに、長谷寺を訪れました。
写経とは、お釈迦様の教えを説いた経典を書き写すこと。その歴史はとても古く、今から約1300年前にさかのぼると言われています。仏教文化が盛んになった奈良時代では仏教の修行の一環として行われ、平安時代以降は祈願や先祖供養のためといった、現在に近い目的で行われるようになりました。
従来は参拝した際に写経をし、参拝の証として納めていました。現在ではその流れから独立して、写経単体で親しまれるように。このように写経の歴史は長く、いにしえより多くの人の心のよりどころとなっています。
今回写経体験で訪れたのは、神奈川県鎌倉市にある長谷寺。736年に創建したと伝えられ、鎌倉市では2番目に古い寺とされています。梅雨の時期のあじさいはとても有名で、各地から観光客が訪れる人気のスポット。長谷寺では写経会場の受付時間内であれば、予約不要で写経体験ができます。
庭園を抜けると、写経会場の書院があります。澄んだ空気と風光明媚な景色に、体験前から心が洗われるよう。
立派な建物に、季節の花。周りの景色を楽しみながら、いざ向かいます!
長谷寺での写経の受付時間は、9:00~15:00(会場は16:00閉場)。基本的には、予約なしで体験することが可能です(10人以上のグループの場合は要予約)。週末などは混み合うこともありますが、満席で入れないことはあまりないそう。もし満席という場合も、しばらく待つことで体験できます。時間がふと空いた日に訪れたタイミングでも体験ができるのは、うれしいですね。
書院の門をくぐると、素晴らしい庭園が広がります。正面に見えるのが入り口、右側に見えるのが、写経会場です。朝の時間帯は人も少なく静かで空気も澄んでいるので、よりおすすめです。
入り口にて写経用紙と筆を購入したら、会場へ。筆ペンやボールペンの用意もあります。机には一つずつ説明の紙、文鎮が用意されています。筆の書き味なども集中度合いに影響するため、長谷寺の写経体験は慣れた自分の筆を持参してもよいそうです。
用紙は「般若心経(はんにゃしんぎょう)」「延命十句観音経」「写仏」の三種類(各一部 ¥1,200)。外には庭園が見える、静かな空間。背筋がしゃんと伸び、これはいい一日のスタートを切ることができそう。
席は自由。訪れた人から机に向かい、写経を始められるスタイルです。お寺によっては、広い会場に集まって一斉にスタートするところもあるとか。
また、長谷寺では、写経の時間はスマートフォンなどの使用と私語は禁止。一定期間情報から距離を置いて気持ちを込めることが大切なのだそう。デジタルデトックスとしても、うってつけかもしれません。
写経をする前に、正面に鎮座する阿弥陀様に手を合わせましょう。心をすっと落ち着かせてから、着席します。
長谷寺で体験できる写経用紙は三種類。こちらは、一般的な写経に使われる経典として多い「般若心経」。悟りの境地にいたるための大切な教えを説いたものです。262文字あり、所要時間は平均90分くらい。長谷寺の写経は上からなぞるスタイルですが、手本の経典を真似して写経する寺院もあります。
こちらは「延命十句観音経」。観音様とのご縁に感謝し、念じることで徳を得ることができる、という内容が書かれています。42文字と短く、ゆっくり書いて平均30分ほどの所用時間なので、初心者の人はこちらを選ぶことが多いとか。今回の体験でも、こちらを選びました。
こちらは、観音さまの姿をなぞる「写仏」。かなり細かい線の集合で、平均で120分ほどが目安だとか。「ハードルが高そう!」と思いきや、体験する人は割と多いそう。繊細な線が多く、筆でなぞるのは大変なので、ボールペンでなぞってもOK。
通常は写経会場で用意している消毒済の筆ペンを借りて写経しますが、今回は、筆を使います。まずは墨をするところから。自然と背筋が伸び、気持ちが落ち着いてきます。
何度か試し書きをして、ちょうどよい濃さに墨がすれたら、書き始め。
「あまり字を書くのが得意じゃない……」「筆は苦手……」という人でも、ご安心を。一つひとつの文字を仏さまの姿だと思って、丁寧に書き写していくことが大切。書き順や上手い下手にはあまり固執せず、一つの文字に対して気持ちを込めて丁寧な気持ちでなぞっていきます。
静かな気持ちで書き進めていくと、墨の香りも心地いい。どんどん心が無になっていくのがわかります。
一つひとつ、文字が形になっていきます。朝の時間だと、鳥のさえずりも聞こえてきたりして、それもまた心地いい瞬間です。取材の日は雲一つない澄んだ晴天でしたが、雨の日に雨音を聴きながらの体験もよさそう。
42文字を、書き上げました! 集中力を切らさずに書けたので、達成感でいっぱいです。普段あまりこういう類の集中をしていないな、という気づきも。また、日常ではスマートフォンやパソコンを使うことが多いため、「書く」という行為をすること自体、あまりありません。そういった意味でも、とても新鮮な体験でした。
写経が終わったら、願いごとを書きます。心願成就、合格祈願、良縁成就など、いま自分が願うことを素直に。住所、氏名、日付を書いて終了です。
書き終わったらこちらの紙に入れ、会場内御宝前におさめましょう。
感謝の気持ちを心に持ちながら、一礼して手を合わせおさめます。こちらは後日、観音堂へ運ばれ、毎年11月18日に行われる写経清浄会の際に、経蔵におさめられます。
祈願のため、供養のため、気持ちを落ち着けるため、と写経する目的は人それぞれ。体験した人は一定時間集中することで、すっきりした表情で会場を後にするそうです。
書院を出るときも、長谷寺の美しい景色に心が癒されます。
ちなみに、庭の敷石にはハート型の石が埋めまれているそう。訪れたらぜひ探してみてください。見つけたら、何かいいことあるかも!
せっかくなので、四季の花を楽しめる「鎌倉の西方極楽浄土」長谷寺境内を、少し散策して帰りましょう。2021年に長谷寺の本尊である十一面観世音菩薩が造立1300年を迎えたことから、長谷寺の象徴ともいえる山門の赤いちょうちんが金色になっています。
境内は、自然に囲まれて開放感も抜群。本尊は十一面観世音菩薩像で、木彫仏としては日本最大級である高さ9.18mを誇ります。
鎌倉の街と海を一望して楽しめる見晴台も。横では団子も売っていて、休憩するには最高です。
境内は緑豊か。写経で落ち着いた心に優しく降り注ぐ太陽の光で、心身ともにデトックスできます。
鯉が泳ぐ庭園もあります。揺れる水の流れ、映る木々の姿……と自然に触れながら、開放感ある境内をゆっくりと散策しましょう。
今回は長谷寺を訪れましたが、写経体験はいろいろな場所で開催されています。長谷寺のようにデトックスを兼ねてゆっくり訪れるのもよし、忙しい合間であれば都内の寺カフェなどでさくっと体験してみるもよし。自分のライフスタイルに合わせて、心をリセットする習慣をぜひもってみては。
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