発酵温浴とは、電気やガスを使わず微生物の力で自然に発酵した熱で温まることができる温浴方法のこと。今回訪れた発酵温浴nifuでは、ヒノキパウダーとヒノキの葉に米ぬかを混ぜた独自の配合パウダーを発酵させています。このパウダーが70〜80℃の熱を発生させ、空気と水分を含むと体感温度40℃前後のサラサラふわふわの状態となります。これに体が包まれることで、ヒノキのいい匂いとともに体の深部からしっかりと温まることができるというしくみです。このパウダーで体の深部から温めることで、血流やリンパの流れを促し、免疫力の向上も期待でき、胃腸の動きも促され、排泄機能の向上や腸内細菌のバランスを整えることにもつながる……と、女性にとっていいことずくめなのです。

自然界が常に循環しているように、私たち人間にとっても「巡り」はとても重要なこと。「健康でいるためには、血の流れをよくすることがとても大事だそう。だから、温活に勤しんでいます！」と岩田さん。

扉を開けた瞬間に、ヒノキのいい香りに満ちています。これは癒し効果満点！　発酵温浴nifuは、全国に8店舗あり（2022年8月現在）、お店によって内装を微妙に変えているのだとか。学芸大学店では、素足で歩いたときに気持ちよく感じられる床の感触や壁のニュアンスなど細かいところにこだわっているそうです。雰囲気が違う他の店舗も訪れてみたい！

まずは、丁寧なカウンセリングから。特に疲れているところや体のお悩みなどを伝えます。

ショウガやトウガラシを配合した薬膳茶と酵素をいただき、体の巡りをよくします。

着替えと水筒に入った水が用意されているので、手ぶらで訪れても大丈夫。こちらのバッグは手作りだとか。細やかな気遣いにもおもてなしの心が表れています。

こちらが発酵温浴風呂。100kgものヒノキパウダーが入った浴槽が3つ並んでいます。ヒノキパウダーの色が濃いほど、発酵が進んでいる状態だそう。発酵が進むと、よりふわふわな触感になります。こちらは3週間に1度、入れ替えをするそう。使用済みのものは農地へ運ばれ、野菜を育てる堆肥や畜舎での敷料となります。これも「巡り」の一つ。

いざ、スタートです。こちらの浴槽にごろんと寝転びます。

「ふわふわで気持ちいい！」

足先から順にヒノキパウダーをかけ、埋めていきます。

みるみるうちに、ヒノキパウダーに埋もれていき……。

カウンセリング時に「肩が疲れている」と伝えたら、肩まわりにたくさんのヒノキパウダーをかけてくれました！

顔以外、全部埋まった！　思わず笑ってしまう岩田さん。

「粉のイヤな感じは、全然ないです。おふとんみたいにふわふわ。すごく温かいベッドみたいです！　岩盤浴だと寝転ぶと少し痛いなと感じることもありますが、これは気持ちいいですね。寝てしまいそう……」

開始3分ほどで汗の玉がぽつぽつと出始めました。

「もう、汗が出てきました。鬼発汗です（笑）」

顔以外、すっぽりと埋まっています。目や顔にもヒノキパウダーを乗せてくれるコースもあります。

隣にはスタッフが常にいて都度お声がけをしてくれるので、安心して入浴できます。入浴時間も相談が可能。「サウナも5分くらいしか入れない」という岩田さんは、5分と少しで終了。それでも汗がじんわり！

「ああ気持ちいい〜！」一度起き上がって、水分補給です。

うつ伏せ浴のコースもあります。

「ああ、これもいい〜！　下腹部を直接つけるので、ダイレクトに温まります。これは女性によさそうですね！」

起き上がり、特に疲れている肩まわりをあたためてもらい……。

ヒノキパウダーを腰のところに盛ってくれると、座る姿勢がすごく楽に。

「こうしている間にも、汗がじわじわ出ています」

細かい黒いつぶは、ヒノキの葉っぱ。これが入っていることで、ヒノキのいい香りをより楽しめます。ヒノキの葉が入っているところは、数ある発酵温浴でも少ないそう。

スタッフと時間を相談しながら、長くても15分で入浴は終了です。

「めちゃくちゃ気持ちよかったです！　すっきりしました！」

入浴が終了したら、シャワーを浴びます。シャワー室もとても清潔感があり、ドライヤーは「レプロナイザー」のもの。支度が終わったら、いざ休憩室へ。実際はもう少し薄暗く、リラックスする音楽が流れています。

ここでは、館内着をきてくつろぎます。

「こうしておもてなししてもらうのは、高級感があっていいですね。ドライヤーもいいやつだったし（笑）。たまのご褒美にいいかも」

運ばれてきたのは、はちみつに漬けた梅干しと塩昆布と甘酒。毒素が出たから、塩分補給です。素材の甘さを感じられる甘酒は、大きいつぶが特徴なのだそう。薬膳茶もあり、温かいものか冷たいものかを選べます。

「こうしてリラックスしている間も、汗がじわじわでてきてとまらない……！」

肌がつやつやで、岩田さん、とてもいい表情です！　落ち着いたところで感想を伺いました。

「はぁ〜、ととのいました。サウナだと中まででじんわり温まるという感じとはまた違うし、熱いお湯だと圧があってあんまり長くは入れなかったりします。発酵温浴なら、効率的に温めることができ体の中が巡っているのを感じますね。もしかしたら、サウナよりもっと汗がでてくるかも。ポカポカがずっとやさしい感じで続くのがいいですね。女性にとって、すごくよさそうです」

「サウナや岩盤浴の熱さが苦手な人におすすめ！」という発酵温浴。サウナ好きの人は、違うととのいを味わいに、ぜひ訪れてみては。

岩田リョウコ

@ilovecoffeejp

文筆家、イラストレーター。著書 に『ちょっとサウナ行ってきます』『HAVE A GOOD SAUNA!』『コーヒーがないと生きていけない！』『エンジョイ！クラフトビール』『週末フィンランド』など。