「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」 など、独自の世界観でギャグを繰り出し続ける、お笑いコンビお笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初のエッセイ集がPARCO出版より発売中です。
50歳という節目を迎え、幼少期から今にいたる までを振り返り、家族、友人、恋人、芸人らとの印象的なエピソードや、ユ ニークな考え方など、肩の力を抜いて読める“飯尾節”満載の1冊から少しご紹介します。
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2020/01/06 Mon.
連載『どのみちぺっこり』第4回「見出された歌の才能」 飯尾和樹(ずん)
「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」 など、独自の世界観でギャグを繰り出し続ける、お笑いコンビお笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初のエッセイ集がPARCO出版より発売中です。
50歳という節目を迎え、幼少期から今にいたる までを振り返り、家族、友人、恋人、芸人らとの印象的なエピソードや、ユ ニークな考え方など、肩の力を抜いて読める“飯尾節”満載の1冊から少しご紹介します。
「“ちょっちょっちょ”の回数がなんだか多くなることが発覚しまして……」
この年になっても、カッコつけることがあります。
それはクイズ番組などで、隣に女優さんが座ったときです。隣に顔の小さい女優さんが座っていると、必ずといっていいほど、いい匂いがします。彼女たちは自分みたいな人間に対しても愛想がいいし、何より美しいじゃないですか。こちらに向けられた笑顔は、もちろん道端に生える雑草に対する挨拶程度のものでしょうけど、やはりドキドキしてしまうんです。
でも、真面目な公務員の親にもらったこの顔はどうにもならない。せめてもの悪あがきとして、お腹を引っ込めています。顔面は今さら間に合いませんので、お腹は1ミリでも引っ込めばボディラインが……ってウルサイよ! すみません、良く思われたくて……春夏秋冬。
人に見られる職業についている以上、見た目には気をつけているつもりです。……えっ、それで!! 油断するとすぐに太ってしまうので、食べ過ぎには特に注意しています。というのも、一時期体重が8キロも増えて、靴下を履くときにお腹が当たって、「あれ、洋服を着るのが運動になってしまった」と愕然としました。
林修先生の番組に出た際に「食事前に黒酢を豆乳か牛乳で割って飲むといい」と言われていたのを信じて続けたら、おかげさまで7キロほど痩せました。今でも習慣的に黒酢を飲んでいますし、ラーメン屋さんでは、酢を水で薄めたものをクイッとやってから食事をとるようにしています。……腹筋でもしなさいョ。
小学校の頃は、好きな子と隣になれるかもしれない席替えが楽しみでした。「飯尾(いいお)」なので1学期は必ず前(出席番号順)の席だったので、いつも後ろの方に行きたいなぁと思っていました。2、3学期の席替えはくじ引きで、6年間で12回あったのかな。見事に好きな子の隣になったことが2回ありました。
苦手な授業は、人類が軽く進化したんじゃないかと思うほど長く感じるのに、好きな女子の隣に座れた月日はあっという間に。ちなみに、スベる瞬間はスローモーションです。
初恋は保育園のケイコちゃん。彼女の声が好きだったんです。なんででしょう、自分は女の人の声に惹かれるみたいで、当時『樫の木モック』というアニメのテーマソングを歌っている女の人の声がとにかく好きだったのを覚えています。
保育園ではその歌声を間近で聴きたくて、スピーカーに耳を当てていたそうです。先生が「外で遊びましょうね」と言って、いったん外に連れ出しても、2~3分後に園庭から戻ってきて、「樫の木モックのお歌をかけてください!」って懇願するくらい夢中になっていたようです。……なのに音痴って、神様~!! 「天は二物を与えず」と言いますが……何ひとつもらってないんですが……あっ! とりあえず生きてるか。
10年ほど前に山寺宏一さんのミュージカルに出たことがあります。自分はとにかく音痴ですから、迷惑をかけるのも嫌なので、最初は生意気にもその仕事を断ろうと思っていたんです。それでも、自分がいつもお世話になっている人やウド鈴木も出るから飯尾くんもどうだろう?と……。
「絶対に迷惑がかかりますから」と言ったら、自分のために音程のテストまでやってくれましてね。何もかも、褒めちぎってくれたんですよ。
「ちょっと音程がズレてるけどいいね!」
さらに、山寺さんに「飯尾くん、君はお金になる声をしているよ」っておだてていただき、おいしいお酒につられて、その気になって「やります!!」と。
結局、稽古に入って本番5日前に、あまりの音痴っぷりにみんなが頭を抱えて、自分の歌がカットになるというオチが待っていました。
「だから言ったじゃないですか!」って思わず笑っちゃいましたよ。
なんといっても初めてのミュージカルでしたから、歌のトレーニングや芝居とボイストレーニングは毎日していましたが、歌をカットされて、もう安堵しかありません。「よし、コメディ部分に集中だ」と、ようやく軽い足取りで池袋の芸術劇場の稽古に通えるようになりました。
もともと音痴で、「口パクをしているだけでも、音痴だとわかる」とナインティナインの二人にツッコまれたこともあります。
自分の“才能”を発見したのは、関根さんです。打ち上げがカラオケでモーニング娘。の「恋愛レボリューション21」を歌ったら「ちょっちょっちょ」の回数がなんだか多くなることが発覚しまして……。
「なんだそれ。もっと歌ってみろ」と、関根さんは大笑い。
関根さんは、その人の面白い部分を見つけるのが早く、コンプレックスを武器に作り直してくれます。面白い芸人を見つけるのも早く、お笑い魚市場の仲買人……いや、漁師ですね。
そのうち、関根さんと小堺一機さんのコサキンのラジオでも歌うことになって、テレビからも歌を歌う企画で声がかかるようになりました。
こっちは真面目に歌おうとしているだけで、笑ってもらえる。こんなにプレッシャーのない仕事はありませんね。
「あなたはただ、ゴールデンタイムの番組で歌ってくれるだけでいい」それで成立するんです。まさに、セリーヌ・ディオン扱い……性別は違いますが、そんな気分だった……土曜の8時。
唯一無二のセンスがちりばめられた、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初エッセイ
一般発売日:2019年12月23日(月)
PARCO出版『どのみちぺっこり』紹介ページ
https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=160
2019年12月20日(金)~2020年1月6日(月)に、渋谷パルコ地下1階のGALLERY X (名称:ギャラリー エックス)にて、「どのみちぺっこり」の刊行を記念した展覧会「ずん飯尾のどのみちぺっこり展」を開催します。「ずん」飯尾和樹の世界観に触れられる展覧会。エッセイ集の先行販売あり、展覧会オリジナルグッズ販売もあります。
飯尾和樹の誕生日にあたる12月22日には会場でのイベントも予定。年末年始に渋谷のど真ん中でぺっこり、ゴロゴロできるのは渋谷パルコのGALLERY Xだけ。
■タイトル:ずん飯尾のどのみちぺっこり展
■会期:2019年12月20日(金)~2020年1月6日(月)
■場所:GALLERY X(渋谷パルコ地下1階 / 東京都渋谷区宇田川町15−1−B1F)
■営業時間 :11:00~21:00
※初日は12:00開場 ※12月22日はイベント開催に伴い12:00~15:00は閉場
※12月31日、最終日は18:00閉場 ※2020年1月1日は休館日
■入場料:300円(税込 / 特典付き)※小学生未満無料
■主催 / 企画制作:パルコ
■協力:浅井企画
■特設サイト
https://art.parco.jp/galleryx/detail/?id=344
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