「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」 など、独自の世界観でギャグを繰り出し続ける、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初のエッセイ集が本日12月23日からPARCO出版より発売されます。
50歳という節目を迎え、幼少期から今にいたる までを振り返り、家族、友人、恋人、芸人らとの印象的なエピソードや、ユ ニークな考え方など、肩の力を抜いて読める“飯尾節”満載の1冊から少しご紹介します。
~1分で読めるエンタメコラムを配信~
季節のファッショントレンドから、アート、映画、演劇、旅行などの耳より情報に、旬のイケメンまで。あなたの好奇心を満たすコラムをお届け!
2019/12/23 Mon.
連載『どのみちぺっこり』第2回「告白は自分から …それは告白されないから…」 飯尾和樹(ずん)
「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」 など、独自の世界観でギャグを繰り出し続ける、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初のエッセイ集が本日12月23日からPARCO出版より発売されます。
50歳という節目を迎え、幼少期から今にいたる までを振り返り、家族、友人、恋人、芸人らとの印象的なエピソードや、ユ ニークな考え方など、肩の力を抜いて読める“飯尾節”満載の1冊から少しご紹介します。
「告白はいつも最初から最後まですべて敬語です」
「ごめん、気になる人ができたの」と二子玉川でフラれたとき、電車に乗る気がしなくて、家の方へ歩きながら、「何だヨ~、好きヨ♡なんて言っておいて……」と、醜いもんで最初は相手を責めるんですが、歩いていると「そりゃ~、一緒に居て楽しいほうへ行くか~」「負けたんだな~」と整理がついてきて、家に着いたら4時間も歩いていたから、もうグッタリで爆睡!! そして、目覚めたらスッキリ、次へ! この日からフラれると歩いて帰る儀式が生まれました。
そしてまた、儀式の日がやってきました。場所は鎌倉でした。フラれた後、夕日ヶ浜で海と空飛ぶトンビと砂浜に描かれたアイアイ傘(なぜ書き残したいんだろう? ピラミッドの壁画のように、エジプト人の気持ちがわかる気が……。良かったことはみんな書き残したいんだろう)をぼんやり眺めてから、「歩いて帰るか」って。歩いては休み、休んでは歩きを繰り返し、夜は公園の土管みたいなのに寝泊まりしました。
そのうちに、近所から通報があったんでしょう。おまわりさんが来て「どうしたの」「フラれたんです」「明日の朝にはちゃんと帰るんだよ」って。
自分はどんな風に映ったんでしょう。3日目にやっと多摩川が見えたと思ったら、鶴見川でした。「まだ神奈川県かよ~!!」と心の中でシャウトして、もう誰からも求められていない意志を貫いて、結局3泊4日かけて自宅に戻りました。この失恋で学んだことは、元彼女の判断は正しい(先見の明がある。NYヤンキースのGMにもなれたかも)。それと、思ってた以上に「神奈川県はデカイ」でした。
やっぱり忘れられないのは、告白して付き合えなかった人でしょう。
自分はどんなときでも、好きになったら絶対にこちらから行ってました。何勝何敗なんだろうな……。間違いなく、負け越してますけどね。
告白はいつも最初から最後まですべて敬語です。告白の瞬間ももちろん敬語です。
答えは決まって「嬉しい。だけど、ごめんなさい」。
自分は心の中で静かに敬礼し、そして空に向かって空砲を撃ち、くるりと背を向けて立ち去ります。相手もきっと敬礼と軽く献花をしていたんじゃないでしょうか。
昔からモテませんでしたが、友達の告白の手伝いはよくしていました。教室の外に呼ばれ、出て行くと女の子がモジモジしているんです。「誰々くんに告白するから手伝って」って。
次の日に男友達から「彼女ができた」って報告されると、「告白されるってのはいったいどんな感じなんだ」「なんて言われるんだ」「それでなんて答えればいいんだ」と、すごい食いついて聞いていました。だから、誰かに告白されるというシミュレーションは10代の頃は何度も繰り返しましたね。
みんなが帰った後の教室、体育館の裏……、女友達から呼び出されて、「○○が話があるらしいんだけど……」「えっ? 何?」なんて、分かりきっているのに。そして帰り道、恋の待ち伏せを正門でされたり、自宅までの最後の信号で不自然な信号待ちをしている学校一カワイイ子がいて、「飯尾、部活の帰り?」「まぁね」なんて言いながら……。今、原稿を書いている大井町の喫茶店・ギグレットのマスターに「そろそろ閉店ですよ」と言われたので、このへんで思い出を閉じます。
学生時代の大きなイベントといえばバレンタイン。中3の時は高校入試の直前で、おふくろから、ホワイトチョコで「努力」と書かれた板チョコをもらったことを覚えています。小学校の時は、不二家のハート型のピーナッツチョコレートを「並んでくださ~い!」という女子の前に並んで、配給みたいにもらっていました。
そのあとは、ホームランじゃないけど、「今年の本数はいくつだ?」って友達と比べます。もちろんみんな義理なんですけど、意地でも「義理」とは認めませんでした。「たとえ義理でもチョコはチョコだ」って。手作りチョコなんてもらったことないもんな。チョコは下駄箱に入れておくのが通例で、ないとわかっているのに細目にしてそーっと下駄箱を覗いてみたり、そっと上履きを持ち上げて、「あれ、いつもよりちょっと重くないか?」って本気で勘違いしたりしてね。ちなみに、バレンタインの日、給食でパラソルチョコが出たんですが、それもしっかりカウントしていました。
12月22日が誕生日なんですが、クリスマスと冬をやっと乗り越えたと思ったら、すぐにまたバレンタインが来て、ここでまた男としての成績表が発表されるのかって。男の年度末は2月14日。そこで今年の成績が発表されるわけです。だから、バレンタインは妙にソワソワしてましたね。まぁ、ソワソワ損でしたけどね……。アハハハハ(カラ元気)。
大人になってからは、外見や運動神経だけじゃなく、トータルで判断してもらえるようになって、写真選考で落とされてきた「ルックス労働組合」の僕たちにも少しチャンスが広がりました。
唯一無二のセンスがちりばめられた、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初エッセイ
一般発売日:2019年12月23日(月)
PARCO出版『どのみちぺっこり』紹介ページ
https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=160
2019年12月20日(金)~2020年1月6日(月)に、渋谷パルコ地下1階のGALLERY X (名称:ギャラリー エックス)にて、「どのみちぺっこり」の刊行を記念した展覧会「ずん飯尾のどのみちぺっこり展」を開催します。「ずん」飯尾和樹の世界観に触れられる展覧会。エッセイ集の先行販売あり、展覧会オリジナルグッズ販売もあります。
飯尾和樹の誕生日にあたる12月22日には会場でのイベントも予定。年末年始に渋谷のど真ん中でぺっこり、ゴロゴロできるのは渋谷パルコのGALLERY Xだけ。
■タイトル:ずん飯尾のどのみちぺっこり展
■会期:2019年12月20日(金)~2020年1月6日(月)
■場所:GALLERY X(渋谷パルコ地下1階 / 東京都渋谷区宇田川町15−1−B1F)
■営業時間 :11:00~21:00
※初日は12:00開場 ※12月22日はイベント開催に伴い12:00~15:00は閉場
※12月31日、最終日は18:00閉場 ※2020年1月1日は休館日
■入場料:300円(税込 / 特典付き)※小学生未満無料
■主催 / 企画制作:パルコ
■協力:浅井企画
■特設サイト
https://art.parco.jp/galleryx/detail/?id=344
2024/09/28 Sat.
2024/09/21 Sat.
2024/01/07 Sun.
2024/01/03 Wed.