みなさん、いろいろな読み物がある中で、家、弱火で煮込み中、電車、飛行機、船などの移動中、喫茶店でゆっくり、コインランドリーでの待ち時間、何かの順番待ち、その他、みなさんのそれぞれの環境の中、この本をペラっと開いていただき、ありがとうございます。

自分が、流石だなと感心することを「師匠」として、喫茶店でアイスコーヒー、最近ハマってるレモンスカッシュ、大好きなピザトースト、ナポリタンを中心に、途中、イタリアのランチタイム並みに長い気分転換を入れながら、裸眼で書いてみましたので、みなさんも、どうか楽な姿勢で読んでみてください。

ずん　飯尾和樹

いま居る喫茶店の右ななめ前の席の男性が、もういいだろ！って突っ込みたくなるぐらい前髪を手ぐしでホワッとセットし続けています。理想とは程遠いのか、あっ、またホワッと。相方のやすやブルース・ウィリスだったら、おそらく「あるだけいいだろ！」と、ダイ・ハードに言うでしょう！
電車などでも、たまに見かけますね。窓を鏡代わりに前髪を引っ張って、ちょい右に寄せ……を何回も繰り返したりして。そして、ナットク顔。ビフォーアフター、何がどう違うんだろう？　きっと、本人にしかわからない“美”なのでしょう。情熱大陸の取材対象者だったら、「本日の前髪のこだわりとテーマは？」とかなんとか聞かれてたはず、たぶん……。
そして、私は生意気にも心の中で「誰も見てないよ!　あっ、俺が見てるか」と思うのです。この誰も見てないよ！　あっ、俺が見てるか師匠は、街でも出てきますが、仕事中にもまぁまぁな頻度で出てきます。

スタジオでもちょっとした合間に念入りにスプレーかけて髪を直している方がいますね。よっ、出ました！　誰も見てないよ！　あっ、俺が見てるか師匠！　しかも、ラジオです、ラ・ジ・オ！　ショーウインドーに映った自分のシャツの襟や裾をいじったり、胸の辺りを引っ張ったりしながら全身チェックしている人にも、よっ、出ました!　誰も見てないよ！　あっ、俺が見てるか師匠！　その動作が少年野球時代のバントのブロックサインにそっくりだったんですが、この後、プロポーズでもするんでしょうか？
あっ、みなさん。先ほどの右ななめ前の男性が喫茶店を出て行きました。なんと帽子をかぶって、ズコッ！　ついでにパックリ、ピスタ～チオ。
あんなに時間かけてたのに～。

師匠！いらしたんですか

￥1,540（税込）

PARCO出版

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ずん・飯尾和樹（いいおかずき）

お笑い芸人。1968年12月22日、東京都生まれ。
1990年、浅井企画に所属。2000年にやすと「ずん」を結成し、ボケを担当。
現在では、「さんまのお笑い向上委員会」（フジテレビ）や「飯尾和樹のずん喫茶」（BSテレ東）など、多数のバラエティ番組に出演するほか、情報番組「ノンストップ!」（フジテレビ）では『ワリカツ! ～おトクな割引生活～』という料理コーナーあり。また「ZIP!」（日本テレビ）では、水曜パーソナリティーを務めている。さらにドラマやCM、映画へと活躍の場を広げている。映画『沈黙のパレード』にも出演。著書に『どのみちぺっこり』（PARCO出版）などがある。
 

Twitter：@peccori_45