「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」 など、独自の世界観でギャグを繰り出し続ける、お笑いコンビお笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初のエッセイ集が12月23日からPARCO出版より発売中です。
50歳という節目を迎え、幼少期から今にいたる までを振り返り、家族、友人、恋人、芸人らとの印象的なエピソードや、ユ ニークな考え方など、肩の力を抜いて読める“飯尾節”満載の1冊から少しご紹介します。
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2019/12/30 Mon.
連載『どのみちぺっこり』第3回「図々しさがあればこそ」 飯尾和樹(ずん)
「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」 など、独自の世界観でギャグを繰り出し続ける、お笑いコンビお笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初のエッセイ集が12月23日からPARCO出版より発売中です。
50歳という節目を迎え、幼少期から今にいたる までを振り返り、家族、友人、恋人、芸人らとの印象的なエピソードや、ユ ニークな考え方など、肩の力を抜いて読める“飯尾節”満載の1冊から少しご紹介します。
「“寝っ転がって待っててください”と言われたら並んでもいいかな」
そんなに仕事がなくて……いや、天然記念物並みに少なくて、浅井企画の在庫品として残っていた“おっさん二人”がコンビを組んだのが31歳の頃。それも、リンスとリンスが組んじゃった。どっちかがシャンプーだったら泡立つのに、リンス同士だから泡立たない……。この仕事でごはんが食べられている自分は、ツイてるな、ラッキーだなって思います。もし、幸運以外になにか要因があるのだとしたら、それは心配してくれる親きょうだい、友人に対しても図々しいから、売れなくても続けられたんじゃないでしょうか。芸人ほど身内から心配される職業もなかなかありませんから。
図々しさで思い出すのは、20代の頃、やすがバイト先のコンビニで廃棄になっていたパンを持って帰ってくるようになった頃のことです。最初は「ありがたい、ありがたい」「やす、ありがとう!」って言いながら食べていたのに、ひと月もしたら、「いつもこのパンしか残んないな」「チンジャオロースをパンに入れて揚げてもなぁ~」なんて、いっちょまえに消費者の立場に……。やだやだ、元々そのパンをありがたくいただく立場なのに。図々しいにも程がありますよね。
結局、ちゃんとしている人は、30歳を過ぎて売れなかったらやめていきますね。だって、食えないですから。一般社会で言えば、みんな脂が乗っている頃。それがツラく感じるんじゃないでしょうか。振り返ると、何の自信があって30過ぎまでやっていたんでしょうか。やはり、図々しかったから、今ここにいるとしか思えないですね。
昔はよくバイトをしました。二子玉川の東急スポーツセンターのスケートリンクで貸し靴をやっていた頃は、子どもを見るとすぐに18センチか16センチの靴かわかったから、仲間内3~4人の中では“貸し靴の飯尾”の異名をとったもんです。
そのスケートリンクはすごい人気で、ゴールデンウィークには2時間待ちなんて当たり前。整理番号が配布されて、呼ばれたらスタートしてもらうんですが、そこで学んだのは、彼女と一緒にいる男は面倒くさいということです。
「受付の時点では、1時間と言ってたのに、1時間10分経ってるじゃないか!」
やめなよ、ととりなす彼女。いいカッコをしたいなら、隣接しているパターゴルフで時間つぶしにホールインワンでも決めてくださいョ~。先ほど小2~3ぐらいの子が決めてましたョ。16番ホールで。自分だったら文句を言いません。だって、混んでいるんだから仕方ないよなって思います。というか、そもそも行列に並びませんね。
自分は行列が苦手で、これまでの最高記録は20分。やすが、「本当に美味しいから」というので、評判の塩ラーメン屋に並んだんです。「これだけ待ってるんだから、よほどうまいんだろうな」と期待しながら。
20分並んだ末に念願の塩ラーメンを食べました。その時に気がついたんです。結局、味というのは期待を超えることはないんだって。行列に並んで食べたラーメンより、自宅で食べるサッポロ一番の「塩らーめん」のほうが美味しかったんですよね。
待つのが嫌な理由は、待つこととその価値が釣り合うのか不安だからかもしれません。「おい飯尾くん、あなた3ヶ月待ってくれたら、お笑い向上委員会のレギュラーになれますよ」と言われたらいくら並んでもいい。それは価値を知っているからです。
もし、知っている馴染みの店が混んでいたら、一回喫茶店で様子見をします。コーヒーを飲みながら座って待つぐらいなら、まあいいでしょう。
知らない店だったらどうだろう。「お客さん、こちらのお座敷で寝っ転がって待っててください」と言われたら並んでもいいかな。
おい、何様だョ!! やっぱり、図々しいんだろうなぁ~。
唯一無二のセンスがちりばめられた、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹による初エッセイ
一般発売日:2019年12月23日(月)
PARCO出版『どのみちぺっこり』紹介ページ
https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=160
2019年12月20日(金)~2020年1月6日(月)に、渋谷パルコ地下1階のGALLERY X (名称:ギャラリー エックス)にて、「どのみちぺっこり」の刊行を記念した展覧会「ずん飯尾のどのみちぺっこり展」を開催します。「ずん」飯尾和樹の世界観に触れられる展覧会。エッセイ集の先行販売あり、展覧会オリジナルグッズ販売もあります。
飯尾和樹の誕生日にあたる12月22日には会場でのイベントも予定。年末年始に渋谷のど真ん中でぺっこり、ゴロゴロできるのは渋谷パルコのGALLERY Xだけ。
■タイトル:ずん飯尾のどのみちぺっこり展
■会期:2019年12月20日(金)~2020年1月6日(月)
■場所:GALLERY X(渋谷パルコ地下1階 / 東京都渋谷区宇田川町15−1−B1F)
■営業時間 :11:00~21:00
※初日は12:00開場 ※12月22日はイベント開催に伴い12:00~15:00は閉場
※12月31日、最終日は18:00閉場 ※2020年1月1日は休館日
■入場料:300円(税込 / 特典付き)※小学生未満無料
■主催 / 企画制作:パルコ
■協力:浅井企画
■特設サイト
https://art.parco.jp/galleryx/detail/?id=344
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