ファッション誌の仕事をしていて、日々多くのスタイリストと一緒にお仕事をしているのですが、プロが組んだコーディネートを見ていていつも感心してしまうのが、バッグと靴の色をドンピシャで合わせること。別々のブランドであっても、珍しい色であっても、ぴったりの色やトーンを揃えてくれるのです。長年その光景を目の当たりにしてきた私に刷り込まれた教訓は、バッグと靴は色やトーンを必ず揃えるということ。それが「しゃれ見え」につながるからです。もちろん普段のコーディネートでは撮影時ほど自由に色を選べるわけではないので完璧とはいきませんが、できるだけ「バッグと靴は色やトーンを合わせる」ことを基本ルールとして覚えてください。
テイストを揃えれば黒でも無難に見えない
一般の人はそのルールを理解しているのか、私は電車などの移動中に乗客チェックをこっそりするのですが、たいていの人はバッグと靴の色を意識的に合わせようとはしていません。合っているのは黒いバッグと黒い靴の場合で、意識的ではなく持っているものに黒が多く、たまたま合っただけという印象。なぜたまたまだとわかるかというと、バッグと靴のテイストが合っていないから。色は合っていてもこれではこなれて見えません。
またトレンドを意識して、スモーキーブルーやセージグリーンなどのカラーバッグを選んでいる人も見かけますが、靴はいつもと同じ黒というのもよくあるパターン。もちろん黒はなんにでも合うのですが、一歩抜けてこなれ感を手に入れるには、全く同じ色でなくともトーンを揃えることがおすすめ( 前出の色のバッグだとグレージュ、ベージュ、アイボリーなど)。すごく簡単な方法ですがこれは効果絶大なのです。
色を取り入れるなら2点使いでなじませる
私のワードローブにも黒いバッグと黒い靴が多いのですが、それ以外にベージュ、ブラウン、ホワイト、グレージュぐらいは色のバリエーションをつけて靴を用意しており、それに合わせてバッグを買うようにしています。
一方派手な色の場合はどうしたらいいかと聞かれるのですが、わかりやすく例えるとピンクのバッグにピンクの靴を合わせると、逆に小物が目立ちすぎて気恥ずかしいので、そんな時はボトムと靴の色、またはボトムとバッグの色のどちらかを合わせるとうまくいきます。
つまり色を統一させるのは2点までで、バッグと靴でもいいし、ボトムと小物でもいいのです。3点以上になると合わせすぎに見えるので、その場合は色を少しずらすようにします。例えばピンクの靴とボトムならバッグはグレーやグレージュを、ピンクのバッグとボトムで色を合わせたら、靴はグレーかグレージュを合わせます。そうするとバッグだけ、また靴だけが目立ちすぎることなく、ボトムと小物に一体感が出て派手な色が目立ちにくくなり、しゃれた印象になります。
バッグや靴を選ぶ時は着回し力があることも大事ですが、そればかり重視するとコーディネートが平凡になってしまうので、まずはバッグと靴の色、もしくはボトムと小物の色を合わせる方法で、色小物を着こなしに取り入れるようにしてみましょう。黒ばかり持っている人は、次にバッグか靴を買う時は、2点使いで色を合わせることを意識して選んでみてください。それだけで着こなしがパッと華やかになり、一気に上級者感が出てこなれて見せることができます。