重い病に冒された16歳のミラは、孤独な不良青年モーゼスと出会い、自分を特別扱いしない彼に惹かれていく。モーゼスは不器用ながらもミラを優しく包み込み、ミラは彼との刺激的な日々を通して命を謳歌する。しかしミラの両親は娘を心配するあまり、モーゼスとの交際に猛反対。ミラの命の期限が迫る中、それぞれの感情をぶつけあう彼らだったが……

『ベイビーティース』は、使用するカメラレンズの種類やフレーム内の動作レベルでショットの種類を使い分けることで、主人公ミラと、彼女を支える両親の２つの視点で構成されています。ミラの視点では、観客を彼女の心の中へと投入し、非常に長いロングショットによって、ミラが感じることや見ているもの、映像世界での彼女の立ち位置を繊細に描写。両親の視点では、広角レンズに長回しという組み合わせを採用し、観客がミラの変化を目撃しているような体験を感じさせます。 

さらにデザイン面では、前衛的だが時代を超越した色使いが特徴の写真家ウィリアム・エグルストンの作品から着想を得ています。遊び心がありながらも、緻密に計算されていて、陳腐さと華麗さの両方を持ち合わせる点が、家庭内のごたごたと、人生の最期のために切り取られた思い出を抱き合わせた本作の世界観と見事に共鳴。彼の作品から影響されたアプローチにより、映像を通して人々の思考を駆り立てる前衛的なフレームワークが完成しました。

本作で一番伝えたいポイントは、“いのちを謳歌している”点。本能のままに最初で最後の恋にどんどん引き込まれていくミラと、10代の少女が、あまりにも早くこの世を旅立とうとしている現実に直面し、無力さを感じている両親の葛藤。これは、ただの単純なラブストーリーではなく、失うことの本質をも掘り下げています。愛おしさに包まれる劇的なクライマックスをぜひスクリーンで。

『ベイビーティース』は2021年2月19日(金)より、渋谷パルコ８Fホワイトシネクイントにて公開！

映画『ベイビーティース』
© 2019 Whitefalk Films Pty Ltd, Spectrum Films, Create NSW andScreen Australia

公式サイト： https://babyteeth.jp/

WHITE CINE QUINTO（渋谷PARCO 8F）

2021年2月19日（金）より公開

※上映スケジュール等は下記HPよりご確認ください。

www.cinequinto.com/white