千葉県・津田沼駅前に建つ津田沼パルコは、2023年の2月末に営業を終了いたします。営業終了発表時に街の人から語られた「自由の女神」についてのエピソードを、津田沼パルコの中の人が語ります。
2022/03/17 Thu.
「津田沼パルコ」と「自由の女神」 by津田沼パルコの中の人
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2022/03/17 Thu.
「津田沼パルコ」と「自由の女神」 by津田沼パルコの中の人
千葉県・津田沼駅前に建つ津田沼パルコは、2023年の2月末に営業を終了いたします。営業終了発表時に街の人から語られた「自由の女神」についてのエピソードを、津田沼パルコの中の人が語ります。
津田沼パルコは2023年2月28日に45年の幕を閉じる。
その発表が行われたのは、去年の2021年2月24日のこと。
千葉日報ほか各メディアが報じた突然のニュースに、ツイッターのタイムラインは「津田沼パルコ閉店」で埋まった。というのは大げさにしても、トレンドワード上位に「津田沼パルコ」が躍り出たのは本当だ。
津田沼パルコの思い出や感想が語られる中、「屋上に自由の女神いたよね」みたいなツイートがいくつかあった。
その後、パルコが所属する前原商店会の会合で会長さんから聞かれた。「パルコさんの屋上に自由の女神がいたよね。JRから背中も見えたんだ。パルコさんに写真ないですか?」
写真はもちろん見たこともないし、スタッフに聞いても誰も知らなかった。
営業終了のニュースが発表されるや否や津田沼の人たちに強烈な思い出としてよみがえってきた自由の女神。私は、所在を知っていそうな人に話を聞いてみることにした。
写真提供:『ACROSS』編集室
ここに1枚の写真がある。
渋谷パルコの店頭に立つ巨大な自由の女神像。パルコ社員は皆見たことがある写真だ。津田沼の女神像と関係があるのか。
「記憶の限りだと、渋谷パルコの自由の女神はアメリカ建国200周年がらみだったはずです。となると1976年なんですよ。津田沼のオープンは1977年なんで、私の推測ですが、渋谷の店頭の女神像をオープニング記念で津田沼に持っていったのかも知れませんね。」と、パルコで長く広告を担当してきたKさんから有力な情報が得られた。
「おのちゃんが知っているんじゃない?」また別のある人の情報。
おのちゃんとは、津田沼パルコのPOP(店頭におく広告物)を作ってくれるおじさんだ。
パルコ事務所上の階に事務所がある。
「ああ、知ってますよ。パルコの屋上にPARCOビヤガーデンがあって、円形ステージの奥に立ってました。」
おのちゃんは、1977年の開店当時、「モンキーパンチ」というパルコ6Fにあったカフェバーでアルバイトをしていて、仕事終わりなどによくビヤガーデンに行っていたそう。ステージで歌ったこともあるとのこと。
「実家に行って写真探してきてください!」
このころの写真は、印画紙に印刷した紙焼き写真しかない。
おのちゃんは「ないと思いますよ~」といいながら、数日後本当に写真を探してきてくれた。
顔の大きさ、トーチを持つ手。サイズ感など、渋谷の女神とそっくりだ。
Kさんの言う渋谷から巡回してきた説が有力に思える。
その日、屋上で工事関係の話し合いをしていた。
突然、本社・建設部の長老格Uさんが、「ここ、自由の女神が建ってた場所!」と言うじゃありませんか。
「え、自由の女神のこと、知っているんですか?」
「知っているも何も……そういえば設備にポンチ絵、あっただろ」
「ああ、ありますね」と津田沼パルコ設備課の所長。
「いますぐ見せてください!」
工事のことはもう忘れていた。
ポンチ絵、というのは、図面のことだった!
女神の設置場所、寸法、素材、駅からの見え方まで、自由の女神の解像度を大幅に上げることが出来た。
その後、船橋市郷土資料館の学芸員さんに、1977年オープン当時のパルコ外観写真を見せていただいた。巨大な女神の背中がパルコから突き出ていて、強烈にインパクトがある。
また、別のある方の情報で、中心部の鉄骨が腐食して開業から数年後やむなく撤去したという話も聞けた。
写真提供:船橋市郷土資料館 撮影:小島明
どうして自由の女神なのか。どうしてビヤガーデンのシンボルだったのか。
解明されていない部分はまだまだ多いが、自由の女神を、何とかして津田沼パルコに復活させたいと思った。
色々な方向性を考えた結果、本社・宣伝部の偉い人の計らいで、レゴ®ブロックで出来た自由の女神を、ラスト1年、津田沼パルコで展示できることになった。
大きさも素材も全然違うし、屋上から突き出ていないけど、みんなの心の中にある自由の女神を思い出してくれればうれしい。自由の女神を知らない若い世代の方にも話題にしていただけたらと願っている。
津田沼パルコ最後の1年が始まりました。
津田沼パルコ事務所では、お客様にも、商店会はじめ地元の方にも、パルコで働くショップスタッフにも、喜んで頂ける仕掛けを鋭意準備しています。
時代やお客様に合わせてショップの顔ぶれや役割が変わったけれど、45年もの間、お客様に愛していただいた感謝の気持ちを様々な形で表したいと考えています。
2023年2月28日の最終日まで、津田沼パルコは全力で営業します。
JR津田沼駅北口の津田沼パルコに足を運んでいただけたら幸いです。
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