鍛冶のまち・三条で長年経験を積んだ職人が、1本1本膨大な時間と手間をかけて作る包丁。それが良いものでないはずがありません。
実際に私も「TAGAI」の包丁を手に取ってみて、その心地よい切れ味を日々感じながら台所に立っています。ステンレスよりも、ずっしりとした鋼の重み。刃先が安定するので力も入れやすく、滑りやすいトマトや鶏肉の皮などもスッと刃が入っていきます。包丁が変わるだけで、こんなにストレスなく料理ができるとは……! 自炊が多いコロナ禍で、とても頼もしい台所道具です。
だんだん切れなくなってきたら、砥石でサッと研げばその切れ味は復活します。ひとつ砥石を用意しておけば、いつでもよく切れる包丁のまま。
「どんな刃物も、研げばずっと使えるんですよ」という中條さんの言葉を聞いて、「切れなくなったら買い替える」という選択が、実はとても非効率であることに気づかされました。
長く使えば、自然と愛着が湧いてくるもの。そんなふうに生活道具を愛することは、自分自身の生活を愛することでもあると思うのです。
とはいえ現代の人は、常に忙しさとの戦いのなかで生きています。
良いものだからこそ、できるだけ大切に扱いたい。その思いはあるけれど、こまめなお手入れを不安に思う人も多いはずです。もちろん私も、そのひとりです。
しかし、冒頭でも紹介した通り、中條さんは「そんなに神経質にならなくていい」と話します。少しくらい錆びても、きちんと洗って清潔を保っていれば、体に害があるわけでもなく、包丁としてまったく使えなくなってしまうわけでもない。むしろちょっとしたサビや傷は、これまで時間を共にしてきた証であり、その歴史を感じる佇まいこそ、自分だけの特別な1本になっていくはずなのです。
この一言で、私の考え方はずいぶん変わりました。
新品のようにきれいなまま使うことだけが、正解ではない。本当に大切なのは、道具として使い続けられること。もちろん、そのためにはちょっとしたお手入れは必要です。でも、それは最低限のことだけ。生活道具なのだから、無理をして手間をかける必要はないのです。
もし日々のお手入れで失敗してしまっても、「TAGAI」の公式サイトから依頼をすれば、つくり手である職人さん自ら、研ぎ直しや修理に対応してくれます。
直してもらえる安心感があれば、今まで包丁を研いだことがなくても、挑戦する勇気が湧いてきませんか? こうした仕組みも、1本を長く、でも気軽に使ってもらいたいと願うブランドの思いが込められています。