デザイン性、機能性とも一生使うに足りる道具、吉田ヤスリの「爪やすり」ですが、私がなによりも大事にしたいことは「その道具を長く愛せるか」。いくら優れた道具であっても持ち主がその道具に思い入れを持たなければゴミになりうるのですから。
愛せるのか否か。その基準は人それぞれですが私はつくったひとに思いを馳せてしまいます。
吉田ヤスリ製作所の代表取締役の吉田実さん(左)、吉田尚史さん(右)。
「この潔い爪やすりをつくれるのは、この世でふたりだけ」…これだけでもう国宝にしてもいいんじゃないかな?と思ってしまいます。
吉田ヤスリ製作所は、金属加工産業の名産地・新潟県燕市でものづくりをしている会社です。明治後期は鉄などを削る工業用ヤスリの製造を請けおい、昭和30年より爪ヤスリの製造をはじめたといいます。研磨技術を磨き続けて創業120年を迎えます。
ヤスリ目をつけるのは作業もちろん、その刃を研ぐのがとてもむずかしいと言われています。伝承する方法は「父の背中を見るしかない」と尚史さん。親の背中を子がじっと見つめ、技術が現代まで続いてきたのです。
100年以上前から受け継がれた技術ごとサステナブルにしたい!だから、彼らがつくる道具を使い続けたい。そして、大事なあのひとへ贈りたい。
YOSHIDA YASURI 【爪ヤスリ】マットブラック 化粧箱 ¥3,190(税込)
化粧箱のシルバーの箔押しが、特別感を差し上げています。
「爪をやする」って、ていねいな暮らしっぽいですよね。では、ていねいな暮らしってなんでしょう。時間をかける暮らし?写真映えする暮らし?みんながうらやましがる暮らし?
いいえ。自分自身とじぶんの半径2メートル以内の大事なひとをいたわる生活習慣だと思うのです。
爪は3層構造で冬の乾燥などに弱く、今の時期、優しく削ってあげるのがベストなのだとか。しかも良いヤスリでスリスリすれば、爪切りと遜色ない短時間で爪を仕上げることができます。コロナでおこもりだったときネイルサロンが軒並み自粛をして、ネイルケアに困った女子も多かったのでは。
これからは爪は切るものではなく、やするもの。この習慣ごとヤスリを一生ものにしてはいかがでしょう。
Photo:内藤 雅子
Text:アサイアサミ