━━ 二人芝居は初めてだそうですね。
そうなんです! お話をいただいた時、ワクワクするのと同時に「二人だけだ…」っていうプレッシャーが一気に押し寄せて来ました(笑)。ちょうどその直前に、今回の相手役の大鶴佐助くんがやった配信の二人芝居(別役実作『いかけしごむ』、姉の大鶴美仁音と共演)を拝見していたので、二人芝居って大変なんだろうな〜って思いましたね。
━━ タイトルは可愛らしいけれど、非常に奥深い内容を持った作品です。
そうですね。クスッと笑える感じの軽い作品かなと思いきや、読んでみると…、もちろん笑えるところもありますけど、とても考えさせられる内容なので。でも、“重い作品”と構える必要は全くなくて、フラットな状態で観に来ていただければ素直に楽しめる作品だと思います。台詞もけっして難しい言葉ではないし、展開が複雑なわけでもない。でも、だからこそすごく考えさせられる瞬間があるんですよね。僕も台本を読んでいて、スッと自分のものになっていく感覚があったし。すごく発信しやすい言葉と表現なので、観る方にとっても分かりやすいのではと思います。
━━ 『ピサロ』で演じたアタウワルパから、大変身ですね!
とてつもない変化ですよね(笑)。ものすごく神々しい人物から、穴の中に潜んでいる兵士になるわけですから。この役について感じたのは…、たぶん僕だけじゃないと思うんですけど、人間ってずっと一人でいるとすごく不安になってくるし、何か寄り添ってくれるものを探す傾向があると思うんです。ここに出てくる二人は敵同士で、それぞれ武器を持っていて、相手を殺すというミッションがあるんですが…。「朝起きて、銃を撃って、撃ち返されて、それがおはようの挨拶だ」といった台詞が出てくるんですよ。つまり敵同士で殺される恐怖もあるんだけど、自分と同じ場所に“誰かがいる”ことが安心になっているんですね。僕も、このコロナ禍での自粛期間中はずっと一人で家にいたので、誰にも会えなくなると一気に不安になって。誰かと話したい、誰かの顔が見たいというのは人間の持つ性質なんでしょうね。そういう意味ではこの役にすごく共感するし、もちろん僕だけじゃなく、観てくださる方々のほとんどがそうした感覚を持っているんじゃないかなと思います。