━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アニチューブというYouTubeチャンネルで定番服や古着屋を紹介している。
動画を見て古着にハマったという20代から30代くらいの男性に最近声をかけられることが多く心から嬉しく思っている。自分は50代なので逆に若い世代の古着選びや合わせ方に刺激を受けることもある。
ブランドや生産国、生産年にこだわらず感覚だけの古着選びももちろんありだ。古着選びは自由なので、オーバーサイズで着てもその人らしさがあればいい。
最近の古着ブームで数年前に手軽に買えていた軍モノなどが倍近くに高騰しているものもある。そもそも古着はいわゆる新品の現行ものより安いから若者が買いやすいことが魅力のひとつだった。リーバイスのスーパーヴィンテージのように車が買えるくらいの金額の古着もある。
若い時はいろんな服を着て自分のスタイルを構築していく段階なので、正直あまり高額な古着購入はおすすめできない。
古着との出会いで、何かと油断できない世の中で少しでも前向きに幸せになれたらそれだけでも十分価値がある。大切なポイントをいくつか話していこう。
馴染みの古着屋を作るべし

今はネットで簡単にポチッと古着も買える時代だ。実寸サイズや状態も画像で確認できる。
しかしネット上には正しい情報もあれば、間違った情報もある。諸説がありすぎて本当に正しいことがわからないものもある。
そんな時は信頼できる古着屋でなんでも聞ける古着パイセンを作ればいいのだ。自分の好みに合う古着屋を見つけたら気になるアイテムを試着して、わからないことはお店の人に聞けばいい。
縁があれば何度もお店に通う度に自然に仲良くなるものだ。オーナーが自ら買付している店であれば、詳しい話も聞ける。ネットやSNSにはない、リアルな体験がそこにはあるのだ。
出会いはインスタグラムでもYouTubeでもいいから、気になる古着屋があればとにかく実際に行ってみること。
レギュラー品から買うべし

古着には年代によって価格が倍以上違うものもある。例えばチャンピオンのスウェットはリバースウィーブというモデルが基本だ。
最近はLやXLなどの大きめのサイズがさらに高くなっている。最初に買うなら最後のアメリカ製くらいの年代のものがおすすめだ。だいたい1万円前後くらいのモノがレギュラー品と呼ばれ比較的買いやすい。それでも自分的に高いと思えばさらに新しいアジア製のものでもかまわない。
リーバイスのデニムも同じで1万円以下の最後のアメリカ製の501を買えばいい。
ここ数年人気のオイルドジャケットのバブアーも同じでワンクラウンだとかツークラウンだとか古い方がディテールや質感に味があるが、とにかく高騰しているので最初は比較的新しいものから買えばいい。目安として新品の値段の半分くらいの古着が最初はいいだろう。
バーバリーのステンカラーコートやトレンチも英国製のものは10万円を超えるものが多くなった。数万円であれば英国製ではないものでも若者にはありだと思う。
軍モノを買うべし

自分が古着に興味を持ったのはアメリカ軍のミリタリーモノだった。暖かいアウターやポケットが多いジャケットなどデザインだけでなく機能的に優れているのだ。
軍モノには実物と呼ばれる実際に軍に納入されていたものと、その生産メーカーが一般に販売していた民間モノがある。さらに軍に納入した実績がないメーカーが販売するレプリカがある。
結論から言うと実物が最高だが、ここ数年でアメリカ軍のジャングルファティーグジャケットやパンツ、M65フィールドパンツなど数年前にはデッドストックでも1万円以下だったものがユーズドでも数万円に高騰している。デッドストックとは未使用のまま何年も保管されていた新品の状態のものだ。多少ダメージやリペアがあるモノであればユーズドでも比較的買いやすい値段になっているので、実際に古着屋に行って試着してジップの開閉など確認しながらお気に入りの一着に出会って欲しい。実物に見せかけた偽物のコピー商品もあるので決して買ってはいけない。
数年前は大きめのサイズが安かったが今は逆転している。当時小さめのサイズが高くて買えない若者が大きめのサイズを着ていたら、逆にそれがトレンドになってしまったとも考えられる。
軍モノでも元々は軍の払い下げを安く手に入れファッションとして着るようになったのがはじまりなのに、時代によって変化するものなのだ。
自由に買うべし

生産年とかディテールとか散々言ってきたが、若者には古着を自由に買って欲しい。アメリカ製でなければいけないとか、軍モノのレプリカは認めないとか古着にはいろんな意見と考え方がある。
例えば某有名老舗英国ブランドのトレンチコートに似ている無名ブランドの古着のコートをサラッと着て似合っていればそれでいいのだ。
いろんなスタイルの古着屋がある。ヴィンテージにこだわった店。アメリカものに強い店。ヨーロッパものに強い店。モード系に強い店。
自分に合う古着屋と出会い、その古着の背景にあるカルチャーに興味を持ち、気に入れば買えばいい。そして近くの酒場で一杯引っ掛ければ最高の時間が味わえる。
気になるアイテムがあればまた古着屋に戻ればいい。ほろ酔いでも古着屋であれば気軽に買い物できる。酔った勢いで買ったものがお気に入りの一着になることも多い。
人も古着も一期一会だ。皆様に幸せな古着との出会いがありますように。
Profile
片野英児(アニキ)
株式会社AG代表
1968年東京生まれ。定番ファッションと昭和酒場のコンテンツで人気に。業界ではアニキと慕われ、アパレルブランドのクリエイティブディレクターや自身のANKブランドでのコラボ商品販売の他にYouTubeチャンネル「アニチューブ」を中心に幅広く活躍中。
■Instagram
https://www.instagram.com/eijikatano/
■YouTubeチャンネル「アニチューブ」
https://www.youtube.com/channel/UCHWZ_8FCwcRuGGcSuXpJ3bg?view_as=subscriber