━━ どういった経緯で『うんこドリル』シリーズが誕生したのでしょうか？

映像ディレクターで、後に『うんこドリル』の作者となる古屋雄作さんから「うんこ川柳」（「うんこをぶりぶり漏らします」「うんこがぷかぷか浮いてます」など、の企画をもらっていました。その一方で、かねてから「教育」にはエンターテインメント化する余地があると感じており、「学校の勉強って、どうやったらおもしろくなるのかな？」と常々考えていました。
あるとき、その２つがクロスし「うんこ」を使えば、楽しく漢字を覚えられるのではないかと思いつきました。早速、古屋雄作さんに例文をつくってもらったところ、「これはいけるかもしれない」となり、『うんこ漢字ドリル』の本格的な制作が始まることになりました。ただ、そこからが大変で、開発に2年の時間を要したのですが……。

━━現在の大ヒットのきっかけは？　　

たくさんのメディアに取り上げてもらいましたが、最初はSNSだったと思います。初版は3万6000部と控えめでしたが、親御さんに「書店ですごいドリルを見つけた！」と『うんこドリル』の写真をTwitterに投稿いただいたことで、一気に人気に火がつきました。2017年3月の発売から数週間で4万回以上ツイートされ、ありがたいことに『うんこ漢字ドリル』は一時入手困難となりました。
 
━━ 仕掛け人として、この大人気の理由はなんだと思いますか。　

単純に、「勉強を楽しくする」ことに成功したからだと思っています。それは「辛い」「苦しい」といったネガティブをポジティブに変えたからともいえます。親御さんから「『うんこドリル』のおかげで、子どもが自ら進んで机に向かうようになった」「親子で読んで爆笑している」「子どもが笑いながら勉強するので、自分も嬉しい」といった声を数多くいただいています。勉強していたはずが気づいたら笑っていた。遊んでいたはずが気づけば学んでいた。「学び」と「遊び」の境界線を溶かし、教育を変えていくつもりですが、『うんこドリル』ではその第一歩目が実現できたと思っています。

━━ 『うんこドリル』をつくるうえで、ルールや守り続けているポリシーはありますか？

「うんこ」を扱っているからこそ、「下品で気持ち悪い」「不愉快」などの印象を与えないよう気をつけています。たとえば「（うんこを）食べる」「（うんこが）くさい」といった言葉は禁止しています。また、シリーズの登場人物が「明るく楽しい」ことにもこだわっています。みんなうんこと共に存在しており、うんこを嫌がったり、うんこが漏れたことで落ち込んだりなど、一切しません。うんこを弱い者イジメに使ったりもしません。「うんこでどんなバカバカしくてくだらないことができるか」に全神経を集中させています。

━━ カラフルでポップな配色が目を引く『うんこドリル』なのですが、ビジュアルやデザインへのこだわりを教えてください。　

扱っているモチーフに力があるだけに、イラストのタッチや表現などデザインのさじ加減ひとつで「寒い」印象になる可能性があります。「この絶妙にシュールな世界観を崩さない」を重要視し、細部のデザインに徹底的にこだわっています。「見ているだけでクスッとくる」、そんなタッチのイラストにしています。
また、「うんこ先生」は子どもたちに勉強に興味を持ってもらうという重要な役割があるので、子どもたちが描けるくらいシンプルなものを目指しました。最終的に、「うんこ」に「ヒゲメガネ」をかければ誰でも描ける現在の形に仕上がりました。

━━ 「うんこ展　うんこ学園の夏合宿 ㏌ 池袋」はどんな展示内容になるのでしょう？

今回の「うんこ展」は、「書く」「聴く」「蹴る」「探す」など、本来「うんこ」とは交わることのない要素を取り入れた展示を計画しています。「くだらないことに真面目」が『うんこドリル』の価値ですので、バカバカしさとノスタルジックな学校の記憶の絶妙なハーモニーを感じていただければ嬉しいです。カップルや友人同士で盛り上がりたい方や、ご家族で想い出をつくりたい方にもおすすめです。お子さまであれば夏休みの自由研究にも役立ちます。
展示のモデルとなっている『うんこドリル』の例文やイラストは、本当に長い時間をかけて、こだわりにこだわり抜いてできた作品ですので、展示の細部までくまなく観察していただくとより楽しさが増すと思います。
 
━━ 本物の「うんこ」が登場するとお聞きして、耳を疑いました。

『うんこドリル』本誌に登場する、「うんこハンター・ジェームス」というキャラクターにスポットを当てた「野外授業」のコーナーですね。ここでは、イケメンゴリラのシャバーニで有名な東山動植物園に協力してもらい、動物たちの本物の「うんこ」を展示し、生体ごとの色や形を見たり、においも嗅ぐことができます。もちろん、においは調香士が再現したものなので、安全に体験できますよ（笑）。

「うんこ展　うんこ学園の夏合宿 ㏌ 池袋」

2019年8月9日（金）〜8月26日（月）

10:00〜21:00

※最終入場は閉場30分前　

※最終日は18:00閉場　

入場料：￥600（前売り￥500）／未就学児 無料  

パルコミュージアム

池袋パルコ・本館7F

03-5391-8686  

Staff Credit

Text & Edit: RCKT/Rocket Company*