7月4日(金)より、PARCO MUSEUM TOKYOにて開催中の「GLOBAL POP UNDERGROUND」展で、世界に先駆けて高さ7mの巨大セクシーロボットを発表した空山基氏。アーティストとして常にタブーに挑戦する彼が本展で表現したのは、おなじみのロボットをフィルターに、コロナ禍で感じた憤りと希望。作品に込めた意図や今後の展望についてお聞きしました。

2020/07/10 Fri.
空山基の反骨心がコロナ禍で加速! 開催中の展覧会で浮き彫りになる奇才の思考
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2020/07/10 Fri.
空山基の反骨心がコロナ禍で加速! 開催中の展覧会で浮き彫りになる奇才の思考
7月4日(金)より、PARCO MUSEUM TOKYOにて開催中の「GLOBAL POP UNDERGROUND」展で、世界に先駆けて高さ7mの巨大セクシーロボットを発表した空山基氏。アーティストとして常にタブーに挑戦する彼が本展で表現したのは、おなじみのロボットをフィルターに、コロナ禍で感じた憤りと希望。作品に込めた意図や今後の展望についてお聞きしました。
渋谷の現代アートギャラリーNANZUKAのキュレーションによる本グループ展は、空山基ほか、田名網敬一、ピーター・ソール、ハビア・カジェハなど、国内外のアーティスト総勢21名の作品が一堂に会します。伝説を生み出してきた巨匠から次代をリードする若手まで、クロスジャンルに活躍するアーティストの作品を交錯させることで、アートの多様性を体系的に表現しています。
——今回、セクシーロボットの新作が世界初披露されましたが、自身でご覧になってどう思われましたか?
これだけ大きなサイズのセクシーロボットを見たことのある人はほとんどいないだろうから、びっくりすると思います。ポージングは、詩人のヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが臨終の場で語ったとされる「もっと光を」からインスピレーションを得たもの。ロボットが鎖を断ち切って、大空に飛び立とうとするところを表現しています。
——パブリックスペースに自身の作品が展示されることに対して、どのように感じていらっしゃいますか?
渋谷の中心地に、こんなに大きな裸の女性を置いていいものかなって(笑)。東京都がわいせつかどうか審査したようですが(笑)きちんと芸術であると認めてもらえました。こちらとしても、裸であろうとロボットだからよいのではないかという発想でつくっていますしね。パルコという若い世代の人が集まる場で披露できることを、非常に嬉しく思います。
高さ7m『SEXY ROBOT』設営時の様子
——男女のロボットが接吻を交わすこの作品に込めたメッセージをお聞かせください。
コロナウィルスを前に、文化も文明も、愛も博愛も、為す術なく凍てついた様子を描いています。もともと、性や生きる衝動の「エロス」、暴力や死の衝動の「タナトス」を描いていたのだけれど、死神、コウモリも入れて。描いていると思考がいろいろなところに遊びに出かけて、やんちゃしたがるんですよ。この作品は、横暴なコロナウィルスに対する私なりの復讐です。
——本展では、もう1点空山さんの作品が展示されています。こちらのセクシーロボットについてはいかがでしょう?
2018年に発表した作品で、30年くらい前に、企業の広告用に描いたイラストを起こして立体化したものです。「ヴェニスの商人」からインスピレーションを得て、金と銀をペイントしました。キム・ジョーンズが、このポージングをすごく気に入ってくれたのだけれど、あのとき(2018年に行われたディオールのファッションショー)は、CGのデータがなかったから間に合わなくてね。
——そもそも、セクシーロボットを制作しようと考えたきっかけは何だったのですか?
きっかけは、1978年のサントリーの広告でした。当時『スター・ウォーズ』が日本で公開されたこともあり、そのキャラクターを使いたかったのだけれど、権利がいろいろと面倒で。それで、人型のロボットと犬型のロボットを描きました。子どもの頃から金属フェチで、金属をエロチックと感じる人種なんですよ(笑)。その欲望が尽きるまでは、ロボットを描き続けると思います。
——本展はアートにおけるハイとローの問題に挑んでいますが、現在のアート界の状況をどのように考えていらっしゃいますか?
コロナ後は、どうなるかわかりません。純粋に作品をつくることが好きな人だけが生き残れるから、名声とかステータスとか金とか、動機が不純な人は消えていくと思います。まさに、コロナの天誅だよね。そもそも、文化で食おうなんて考えること自体が図々しい。天然のアーティストにとって、素晴らしい時代がやってくると思います。絵が好きなことに関しては、私は誰にも負けません。絵を描いていないと、禁断症状が出るくらいだから。
——「GLOBAL POP UNDER GROUND」と題されていますが、自身の作品はアンダーグラウンドだと思われますか?
ただ勝手に評論家がカテゴライズしているだけだから、アンダーグラウンドだと言われても私は何とも思わない。自分でカテゴライズしているのは、エンターテインメント。絵が好きだということだけで、自分の立ち位置は何でもいいと思っています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
今描いているものが、一番おもしろいから次に何をしようというものがない。今描いているのは、仏教をテーマにしたものだけれど、裏側にはしっかり反骨心を入れています。小さい頃の夢で具現化したいものはいっぱいある。ミッキーマウスをロボットで作りたいとかね。1m以内のロボットで、ちゃんと子どもと同じ目線で会話できるものを、死ぬまでにつくりたいと思っています。
渋谷PARCO4階のPARCO MUSEUM TOKYOでは、展覧会の入場者を対象に、空山基のパブリックアート作品「Sexy Robot Floating」を4分の1サイズで再現したエディション限定100体の抽選販売が行われています。アーティストの作品がプリントされた、展覧会限定Tシャツも要チェック!
展覧会限定Tシャツは、7/11(土)10:00よりパルコオンラインストアにて販売いたします。
〈PARCO ONLINE STORE〉
空山基(そらやま・はじめ)
1947年愛媛県生まれ。中央美術学園デザイン科卒業。広告代理店旭通信社(現ADK)を経て、1972年に独立。1970年代初頭より、驚異的な写実力を武器に、ピンナップのイラストレーターとしてキャリアを築く。女性の人体美をロボットに取り込んだ「セクシーロボット」シリーズ(1978年〜)で一世を風靡。コンセプトデザインを手がけたソニーのAIBOがスミソニアン博物館とMoMAのパーマネントコレクションに収蔵されるなど、世界的な評価を獲得しているアーティストのひとり。
GLOBAL POP UNDERGROUND
〈公式ウェブサイト〉
会期:2020年7月4日(土)〜7月26日(日)
会場:PARCO MUSEUM TOKYO/東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ4F
入場料:一般500円・学生400円
※入場は閉場の30分前まで
※最終日は18時閉場
※感染症拡大防止の観点から、営業時間の変更や会場にご入場いただける人数を制限させていただく場合がございます
※一般または学生1名につき、小学生以下2名まで入場無料
入場券購入方法
■7/4(土)~7/12(日)の入場券
時間指定入場制になります。
電子チケット販売サイト「LivePocket-Ticket-(ライブポケット)」にて前売券を販売中。
https://t.livepocket.jp/t/vr4nh
当日入場枠に空きがある場合は、会場にて当日券を販売いたします。
■7/13(月)~7/26(日)の入場券
会場にて当日券をお買い求めください。
会場の混雑状況により、入場までお時間をいただく場合がございます。
★本展は会場の様子を3Ⅾビューで鑑賞できるオンライン展示を併催いたします。
会場内を移動、また360度見渡す等、自宅にいながらあたかも実際に展示会場に居るような鑑賞体験も併せてお楽しみいただけます。
(7/11(土)10:00よりスタート)
オンライン展示はこちら
Staff Credit
Photogrpher: Erina Izawa
Text: Ayako Takahashi
Edit: RCKT/Rocket Company*
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