移ろいゆく街・東京で、30年間シャッターを押し続けてきた写真家・映画監督の蜷川実花さん。新作写真集『東京 TOKYO』の刊行を記念し、写真展「東京 TOKYO / MIKA NINAGAWA」が6月12日(金)よりPARCO MUSEUM TOKYOで開催。本作品を通して蜷川さんが感じた東京への思いや、未曾有の事態が続くこの時代に想うことをお伺いしました。

2020/06/13 Sat.
蜷川実花が東京に挑む。新作写真集『東京 TOKYO』を通して、彼女の目に見えたものとは
~1分で読めるエンタメコラムを配信~
季節のファッショントレンドから、アート、映画、演劇、旅行などの耳より情報に、旬のイケメンまで。あなたの好奇心を満たすコラムをお届け!
2020/06/13 Sat.
蜷川実花が東京に挑む。新作写真集『東京 TOKYO』を通して、彼女の目に見えたものとは
移ろいゆく街・東京で、30年間シャッターを押し続けてきた写真家・映画監督の蜷川実花さん。新作写真集『東京 TOKYO』の刊行を記念し、写真展「東京 TOKYO / MIKA NINAGAWA」が6月12日(金)よりPARCO MUSEUM TOKYOで開催。本作品を通して蜷川さんが感じた東京への思いや、未曾有の事態が続くこの時代に想うことをお伺いしました。
展示会場には、極彩色の首都高、東京タワーやスカイツリー、そして79人のトーキョー・ピープルまで、90年代と現代の都市の姿が交錯し、変わりゆくものと変わらないものが溢れる東京を舞台に、蜷川さんが約2年間撮りためた500点以上の写真や映像作品が並びます。
東京の街のムード漂う圧巻の展示会場。500点以上の作品が並ぶ。
――新型コロナウイルス感染拡大防止のため休業が続いていた〈渋谷PARCO〉。営業再開後初の企画展となりますが、今の気持ちをお聞かせください。
会場に足を運んで、実際に作品を観てもらえる機会があることの大切さと喜びを感じています。オンラインではできないことは確実にあるので、このタイミングで開催させてもらえることが本当に嬉しくて、感謝しかありません。
――今回の作品は、撮影に「写ルンです」を使用したとお聞きしました。使用に至った経緯や意図はありますか?
ここ2年くらい、常に「写ルンです」を持ち歩いて写真を撮り続けています。「写ルンです」は、限られた範囲しか写せない不自由な機械で、一眼レフのカメラとは違ってコントロールの効かないところがおもしろい。技術的なことが何も通用しないので、被写体との距離感やシャッターを押すときの自分の気持ちだけが頼り。自分のあらゆる得意技を封印して、シャッターを切ることだけで勝負したときに何が残るのか、何ができるのかを知りたかったんです。
――今回の作品の中で、お気に入りの一枚があれば教えてください。
写真集にも収録されている、雪の日の桜の写真が気に入っています。これは今年の3月に撮影したものです。あの日の桜は壮絶で、この世とは思えないくらい、本当に凄い景色でした。
©mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
――「東京」を意識して写真を撮り始めたことで、気づいたことや感じたことはありますか?
いつか東京ときちんと向き合って、写真を撮らなくてはとずっと思っていました。わたしは東京生まれの東京育ちで、東京にしか住んだことがないのですが、東京と向き合えるだけの準備ができていない気がして、ずっとうやむやにしていたんです。でも、2年前にふとそのタイミングがきたような気がして「東京」を撮り始めました。実際に撮り始めてみると、わたしにとっての東京は、自分の半径2〜3メートルの世界で、その中に常に虚構と現実が入り混じっている。その境界線が曖昧なのがわたしの日常であり、東京でした。
――蜷川さんにとって「東京」の魅力やおもしろさは何だと思いますか?
自然もいいなと思うけど、やっぱり都市が好き。街を歩いていると、迷路みたいにどんどん奥に進んでみたくなるし、フッと闇に落ちる瞬間や急に上に昇っていく感覚になることがあって。その突如何かが現れる感じは都市にしかなく、東京はそれが深い気がします。そういうところも含めて、やっぱりおもしろいです。
――以前、ドラマ『FOLLOWERS』についてのインタビュー記事で、渋谷のスクランブル交差点が特別な場所だと仰っていました。いま特に思い入れのある「東京」の場所はありますか?
やはり変わらず、渋谷のスクランブル交差点が好きです。
――展覧会前には、全国に緊急事態宣言が発令されるなど、これまでにない経験が続いたと思います。そのなかで、蜷川さんの考え方やクリエイションに変化はありましたか?
今まで一度も振り返らずに進んできたのですが、強制的に立ち止まって振り返る時間や、深く潜って考える時間を持ちました。それにより、新しい発見もありましたし、深く思考することの大切さをより感じました。
――新たに取り組みたいプロジェクトや今後の展望があれば教えてください。
より誠実に、真面目にものを創っていきたいと思っています。
名児耶 洋
Hiro Nagoya
本展は、自宅にいながら会場の様子を3Dビューで観賞できるオンライン展示も見どころの一つ。また、〈PARCO ONLINE STORE〉では鮮やかに切り取られた東京の姿を収めたオリジナルグッズを展開! ポストカードセット、A4クリアファイル、2連アクリルキーホルダー、ステッカーセットに加え、本展の開催を記念した本書籍のサイン本を数量限定で販売します。今すぐチェックして!
上から時計回りに:A4クリアファイル(全4種・各¥660)、2連アクリルキーホルダー(全5種・各¥660)、ステッカーセット(5種セット・¥1,100)、ポストカードセット(6種セット・¥1,320)
まるでその場にいるかのように、360度会場を見渡せるオンライン展示。〈オンライン展示はこちらから〉
名児耶 洋
Hiro Nagoya
蜷川実花(にながわ・みか)
写真家、映画監督。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画『さくらん』(2007)、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』(ともに2019)監督。 Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』が世界190ヶ国で配信中。映像作品も多く手がける。 2008年、「蜷川実花展―地上の花、天上の色-」が全国の美術館を巡回。台北、上海などアジアを中心に大規模な個展を開催し、動員記録を大きく更新するなど人気を博し、世界的に注目を集めている。2018年熊本市現代美術館を皮切りに、個展「蜷川実花展-虚構と現実の間に -」が2021年まで全国の美術館を巡回中。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事。
東京 TOKYO / MIKA MINAGAWA
会期:2020年6月12日(金)〜6月29日(月)
※入場は閉場の30分前まで ※最終日は18時閉場 ※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更の可能性があります。渋谷パルコ営業日時をご確認ください。
会場:PARCO MUSEUM TOKYO/東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ4F
入場料:一般500円・学生400円・小学生以下無料
Staff Credit
Text & Edit: RCKT/Rocket Company*
2025/02/13 Thu.
2023/10/18 Wed.
2023/10/05 Thu.
2023/10/02 Mon.