2022/10/26(水)まで開催中の「島の装い。」POPUP-SHOPのディレクターであるセソコマサユキが沖縄のものづくりをご案内します。沖縄に根付く「ものづくり」の思いを感じてみて。

2022/10/22 Sat.
「島の装い。展」で出会う沖縄のものづくりで、暮らしをもっと楽しく。
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2022/10/22 Sat.
「島の装い。展」で出会う沖縄のものづくりで、暮らしをもっと楽しく。
2022/10/26(水)まで開催中の「島の装い。」POPUP-SHOPのディレクターであるセソコマサユキが沖縄のものづくりをご案内します。沖縄に根付く「ものづくり」の思いを感じてみて。
石垣島・川平湾の風景。何度見ても感動する美しさ
沖縄に暮らしていて良いなぁと思うことは、自然から、ひとから、「元気をもらえること」。
イベントに参加してもらったキャサリン・ロリマーさんの石垣島時代の作陶風景
沖縄は「手しごと」が根付いている島、と言って良いと思う。琉球王国の時代から日本本土や中国、東アジア諸外国などとの交易をとおしてさまざまな文化を受け入れ、独特な伝統文化を形づくってきた島で、国指定の伝統的工芸品は16品目で、全国で3番目の多さだ。「伝統」や「工芸」というとちょっと敷居が高いかもしれないけれど、ものづくりを愛する精神は裾野まで広がっていて、やちむんやガラスなどだけでなく雑貨やコスメなど、つくり手は多い。誰もが真剣で、創意工夫を凝らし、なによりも作ることを、暮らしを楽しんでいる。だからそういう人たちに会うと、いつだって元気をもらえるのだ。
石垣アパートメントの3人。ね、元気をもらえる笑顔でしょ
「島の装い。展」は、そんなつくり手たちとの使うひとたちをつなぐイベントだ。沖縄に根付く「ものづくり」を、もっと沖縄に暮らす自分たち自身がよく知って、暮らしに取り入れられるように。つくり手と使い手が直接コミュニケーションをとれるように。
第二回の開催となった2022年3月には、沖縄本島・離島から60を超えるつくり手が集い、販売のみも合わせるとその数は100を超えた。おかげさまで多くの来場者で賑わい、なかでも嬉しかったのは異なる場所で活動するつくり手同士がつながり情報交換をしたり、つかうひとと思いを共有しながら直接販売できたこと。コンセプトメイキングから出店者のセレクションまで、イベント全体のディレクションをさせてもらったひとりとして、会場でつくり手とつかうひとの笑顔に出会えるのは、最高の喜びでした。
2022年3月に開催した「島の装い。展」は黄色い灯台が目印。60以上のつくり手が集った
彼らが作るものには、日々を愛おしむ気持ちや沖縄への愛、さまざまな思いが詰まっていて、手のぬくもりが伝わり、だから暮らしを豊かにしてくれると僕は思っている。「買う」ということは、言ってみればその商品がずっとあるように「応援する」という意志の表明だ。だからこそ、「誰から」買うかということは、とても大切な要素。10年後も、20年後もぼくたちのそばにあってほしい商品を「島の装い。展」では扱っている。買うことで、売ることで、つくり手たちを応援したいから。
仲間さんのアトリエショップは統一された世界観で
沖縄本島の南の端っこに「喜屋武(きゃん)」という集落がある。いかにも沖縄の田舎の集落という感じで、観光客が来るような場所ではない。いや、なかった、というのが正しいかもしれない。集落の中に「ateliar sou」を営む仲間秀子さんの工房兼ショップがある。真鍮でアクセサリーを作る傍ら、その場所を自分の「好き」で満たし、世界を作り上げている。濃いグレーのシックでシンプルな作りの建物のなかに、アクセサリーが並び、大きな窓からは海が見える。「そう」という名前の通り彼女の作るアクセサリーは、暮らしに寄り「そう」、人に寄り「そう」。だから、仲間さんのファンがこの場所を訪れるようになった。彼女に会いに、作品を求めに、この空間に身を浸しに。
工房で作業するsunnytimeの石嶺ラサさん
asamoya worksの森山麻美さんと、seek a seedの本柳あやさんが屋上を案内してくれた
石垣島に行ったならぜひ訪ねてほしい場所がある。最南端のアーケード商店街「ユーグレナモール」のはずれ、石垣アパートメントという古びたビルに、島の装い。展にも出店してくれている3人、アクセサリーの「seek a seed」のショップ、特徴的な猫のイラストで雑貨を作る「asamoya works」、月桃を使ったコスメブランド「sunny time」の工房がある。古びた、というのは誇張でもなんでもなくて、本当に外壁が崩れ落ちてるようなレベルなんだけど、その雰囲気がかえって旅情を掻き立てるというか、離島らしさを醸し出しているというか、なんとも言えず良い。それぞれに島の自然や文化を取り入れつつ、暮らしを豊かにしてくれるものづくりをしていて、彼女たちの作品を眺めると、いつだってこの場所の風景を思い出す。
本島北部、宜野座村にある「日々の木工舎」の工房は静かで、整っていて、つくり手の誠実さを表しているかのようだった。
nakamurakenoshigotoは器の雰囲気同様、その住まいもモダンで洗練されていた。
伊江島でカーサビエントという、まるでガウディ建築のような佇まいの宿を営みながら作陶する金城和樹さんの工房の窓からはタッチュー(城山)が見え、彼の陶器から感じるおおらかさは、この自然によるものだと感じることができる。
取材だったり、仕入れだったり、いろいろな機会をとらえては沖縄中を巡っている。入口は一緒でも、人が人を繋ぎ、辿っていくと、毎回あたらしい発見と出会いがある。ぼくはこの「出会い」を、島の装い。展を通して、たくさんの人に経験してもらいたい。なぜならそれが、暮らしを豊かにしてくれると知っているから。ぼく自身がそうであったように。
島の装い。展は年に1度、恒例の企画として開催していけたらいいな、と思っています。毎年同じ時期に、同じ場所で、沖縄のものづくりとつくり手と、出会えるように。PARCO ONLINE SHOPでそのかけらを感じていただきつつ、次回の開催を楽しみに待っていただけると嬉しいです。
セソコマサユキ
編集者、カメラマン、ライター。編集チーム「手紙社」にて、書籍の編集、イベントの企画、カフェ、雑貨店の運営に携わったのち、2012年6月に独立。自身のルーツである沖縄へ移住。紙、web等の媒体を問わず、企画・編集、執筆、写真を通して沖縄の魅力を独自の世界観で表現し、発信している。観光情報サイト「沖縄CLIP」編集長。「島の装い。STORE」共同代表・ブランディングディレクター。「あたらしい沖縄旅行」、「石垣 宮古 ストーリーのある島旅案内」など著書多数。
島の装い。POPUP-STORE
会期:2022/9/30-2022/10/26
2023/09/22 Fri.
2023/09/19 Tue.
2023/09/13 Wed.
2023/09/12 Tue.